ハウス食品マーケティング本部香辛食品事業部開発マネージャーの栗本宜長氏は開発当時の事情をこう語る。「ポン酢の不満点というのを調べてみると、(液体なので)下に全部落ちてしまって、例えばサラダなんてビチョビチョになるんですよ。同時にゼリーソースのほうも何とか家庭用にできないかという課題がありましたので、それで(ぽん酢とゼリーソースとを)合体したのです」。

発売に際して、用途の広さをアピールするため、トンカツ、サラダ、冷奴への使用例をパッケージに載せた。テレビCMでもその用途を明確にするため、タレントの大沢あかねがこれをトンカツにかける映像にしている。

また、暗に脂っこさを中和してくれるメリットを訴えている。トンカツのような揚げ物の場合、脂っこさやカロリーが気になるところだが、「のっけてジュレ」は液体ソースのように流れ落ちてしまうことがなく、食材によく絡むので中和度が高い。加えてパッケージに「ノンオイル」をうたっているのでカロリーも気にならない。

さらに慣習的にトンカツソースは、茶色や黒色の液体が多く、ダークでハードな印象を受けるが、「のっけてジュレ」の場合、キラキラと黄金色に輝いているので華やかで、オシャレで、ビジュアル面でも女性に好感を持ってもらえる。

ジュレの透明感とゼリー独特の物性を生かすため、テレビCM(大沢あかねバージョン)でも、ジュレが遠くから飛んできてトンカツにかかるようなイメージに演出した。このダイナミックなCMは、今流行のCGではなく、実際に飛ばしたものだというから驚きだ。幾度も撮り直しをしたそうで、同社によるジュレの特性へのこだわりの強さを感じさせるエピソードといえる。

同様にパッケージ・カラー面でも伝統的調味料のぽん酢との区別性を意識した取り組みを行っている。通常ポン酢といえば、液色を反映して黒っぽいパッケージという印象である。しかし、「のっけてジュレぽん酢」の場合、あえてパッケージを純白にした。ここにはハウス食品のコーポレートイメージを踏まえたメッセージ性が生きている。カレーであまりにも有名な同社はパッケージを白色にすることで、洋風のイメージを前面に押し出し、区別化を果たしたのである。