「再生医療が急速に普及し、関節痛や腱鞘炎などの症状は手術不要で完治できる時代になってきた」とお茶の水セルクリニック院長・寺尾友宏は解説する。年齢のせいにしてあきらめがちな悪魔のような慢性痛の最新治療法の1つをオンラインでも特別解説。7月28日(金)発売の「プレジデント」(2023年8月18日号)の特集「疲労、痛み、ストレス超回復法100」より、記事の一部をお届けします――。
関節痛と腱鞘炎は最新再生医療で完治
日本国内に3000万人もの患者がいるとされる「関節痛」。これだけ多くの人が関節痛に悩まされているにもかかわらず、完治を諦めている人が多いのが現状です。近くの病院にかかっても湿布を渡されるだけで、根本的な治療をしてもらえない。しばらくするとまた痛んでくるが、年齢のせいだと諦めてしまう。そんな方が多いのではないでしょうか。
近年では、関節痛にも「再生医療」の提供が始まっており、関節痛は完治する病気になりつつあります。メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が、肘の治療に「幹細胞治療」という再生医療を試したことで話題になっています。関節痛を年齢のせいだと諦める必要はありません。
そもそも、関節痛はどのようにして起きるのでしょうか。よく「軟骨がすり減って痛む」と言いますが、これはある面では合っていて、ある面では間違っています。というのも、軟骨の中には神経がなく、軟骨自体が痛むことはないからです。
軟骨がすり減ってくると、付近の組織が本来のバランスを保てなくなり、関節にガタツキが生じます。軟骨はなめらかな動きができなくなり、骨のへりがぶつかったり、筋肉が引っ張られたりして炎症が起こってしまいます。