贈り物などで、一度はここのハンカチを目にしたことがあるという人が多いかもしれない、ドイツのブランド「フェイラー」。1枚3000円ほどの高級感あるシュニール織ハンカチは、黒地に花柄が定番で、そのエレガントなイメージからマダムのためのアイテムという印象が強かった。ところがここ数年、カラフルでポップな柄の展開が目立ち、人気の柄はすぐ売り切れるなど、若い世代に受けている。ブランドの存続をかけた“リブランディング”について、フェイラージャパン代表取締役社長の八木直久氏に聞いた。

リブランディングについて語る八木直久社長
撮影=岡田晃奈
リブランディングについて語る八木直久社長

――黒地に花柄のエレガントなイメージが強かったのですが、ポップで可愛らしい印象へとガラッと変わりました。

日本で100年続くブランドを目指そうと、改革を決断しました。もともとドイツ発の創業1948年のブランドで、日本に上陸して今年で51年。これまで百貨店を中心に展開し、年配のお客さまからご愛顧いただいておりました。2012年に調査して明らかになったのは、メインの購買層が65歳以上だったこと。ブランドの存続ということを考えると、新たな層を獲得する必要性が浮かび上がってきました。いまの購買層のお子さん方にあたる、30~40代に向けた発信です。

――昔からのファンも多いなか、改革はスムーズに進んだのでしょうか。

まずは社内の説得でした。売り上げの数字に問題があったわけでもなく、改革の必要性が見えにくい。スタッフの頭それぞれに、いつも来てくださるお客さまの顔が浮かんだのでしょう。「なぜ?」という声が起こったわけです。繰り返し、ブランド存続のために、ファン層を広げることの大切さを説きました。そして、これまでのファンの方にお手紙を書いたり、得意先の百貨店さんを訪れたりして、丁寧に説明をしてきました。

ブランド改革というと、これまでのファンを絶つのかという不安を伴うものです。そうではない。昔からのお客さまは大切にしながら、その下の年代層を増やしにいくための改革です。