銀座本店。明るい店内にはさまざまな柄のアイテムが並び、足を踏み入れれば気分が上がる。
撮影=岡田晃奈
銀座本店。明るい店内にはさまざまな柄のアイテムが並び、足を踏み入れれば気分が上がる。

――具体的にどう進めていったのですか。

2014年から柄のバリエーションやアイテムを増やし始めました。2015年に動きを加速させ、銀座本店をはじめ、フェイラーの世界観をより深く伝える旗艦店をオープンさせました。さらに、ギフトコンセプトショップ「ラブラリーバイフェイラー」も立ち上げました。このラインは、フルーツやネイルボトルなどポップな柄や、ラーメンやサウナといったユニークな柄が特徴的で、ファッションビルにショップを構えることで、若い世代を取り込む戦略をとっています。

実は、お客さまからヒントを得たこともあります。フェイラーの代表格に99年に販売を開始した「ハイジ」という柄があるのですが、ドイツの野にいる生き物が四方いっぱいに駆け回っている愛らしい雰囲気から、お持ちの方が多いものです。

忘れもしない2017年の8月12日、スタッフが夏季休暇中に、「ハイジ」をめぐるムーブメントが起きたのです。あるファンの方が、語呂から今日は「ハイジの日」と、ご自分のインスタに商品写真とともに投稿してくださったんです。それを受けて他の方も次々と投稿され、後で気づいたスタッフ一同驚きました。ならば次の年から公式に「ハイジの日」を設けようと、以来、この日は例年「#ハイジの日」で盛り上がっています。今では公式インスタのフォロワー数も18万人超に広がり、関心を持っていただいています。

――SNSでファンが拡大しているということですね。

時代のツールのおかげで「共感」が広まり、加速的に変化できたと考えています。ファンの方が「ハイジの日」を問わず、ご自身のインスタに、カフェや旅先などでのワンシーンとともにお気に入りのフェイラー商品を「#フェイラー」をつけて投稿してくださっていて、その数は1日150件を超えています。

私も毎日楽しくインスタをチェックしていますが、一つの柄だけでなく、ああこんな柄もあるんだと、次から次に連鎖的に知ってもらえる。そういった投稿を目にして、「初めてフェイラーを知った」という若い世代が出てきたんです。あるいは、お母さまが持っていたものが自分も持てるブランドなのだと気づいた。何よりも「なんか、変わったね」と、こちらからの発信以上に、お客さまに認識してもらえたことが大きいと感じます。