成功の鍵を握るのは

レギュラー化が発表されたとき、出てほしいトークゲストに松本は甲本ヒロト、矢沢永吉、吉永小百合、鳥山明、中居は黒柳徹子、トランプ前大統領の名前をあげていた。さらにその基準について松本は「めったにテレビに出ないような人」、中居は「規格外の人」と語っていた。まるでスタッフサイドにプレッシャーをかけるようなコメントだったが、はたしてどこまでそれを実現できるのか。

複数の番組関係者に取材してみたところ、キャスティングには最も力を入れているのは確かだが、「組み合わせの必然性、本人たちの許諾、スケジュール調整、各方面への配慮などがあって難しい」と、かなり苦労している様子がうかがえた。

キャスティングに関してはプロデューサーを中心にスタッフサイドが努力をしているのは間違いない。しかし、一部のスタッフがどれだけ頑張っても限界があるだけに、局全体での協力体制に加えて、芸能界の大物で広い人脈を持つ松本と中居がどれだけポジティブに関与できるかが成否の鍵を握るのではないか。

トークバラエティの厳しい現実

トークパートでもう1つ危うさを感じさせるのが、この番組のような少人数のトークバラエティがゴールデンタイムにまったくないという厳しい現実。「踊る!さんま御殿‼」「上田と女が吠える夜」(日本テレビ系)のようなグループのトークバラエティはあっても、1~2組の話をじっくり聞く番組がなくなってひさしい。

プライムタイムの22時台に「おしゃれクリップ」(日本テレビ系)、深夜帯に入る23時台の「A-Studio+」(TBS系)が放送されているが、これらは前者が資生堂、後者が花王の一社提供という特殊な条件による番組に過ぎない。

業界内では松本人志と中居正広の番組であっても、21時台にトークバラエティを放送することに関して、今なお懐疑的な目を向ける人が少なくないのだ。

少人数のトークバラエティがゴールデンタイムで放送されなくなった理由は、かつてより大物の有名人が減り、視聴率をとれなくなったから。芸能人が雲の上の存在であり、「見かけただけでうれしい」などと喜ばれていたのは1990年代あたりまでで、2000年代に入ったころからその数は急激に減っていった。

SNSで発信する芸能人が増え、会いに行けるアイドルが人気を集めるなど、親近感を抱きやすくなる一方で、存在としてのスケール感はダウン。少人数のトークだけでは厳しいとみなされ、グルメやロケを軸に据えたバラエティ要素の濃いものだけが生き残っていたが、近年はそれすら難しくなり、ほぼグループトークのみが放送されている。