50歳のダニエル・クレイグの肉体を仕上げた最高のトレーニング

クレイグと私は1週間ずっと厳しいトレーニングに励んで、ようやく打ち上げをした。そのため、本稿に副題をつけるとしたら「血と汗とビールの結晶」になる。このおかげで、クレイグはスクリーンから飛び立ち、目的地に到達できたからだ。とはいえ、どうか怖気づかないでほしい。このあと詳しく述べるが、たとえあなたがソファに座ってばかりいるフィットネス初心者であっても、いますぐボンドのようにトレーニングすることができるのだから。

サイモン・ウォーターソン『インテリジェント トレーニング』(かんき出版)
サイモン・ウォーターソン『インテリジェント トレーニング』(かんき出版)

身体づくりを始めたばかりでも、ジェームズ・ボンドのようにトレーニングすることは可能だ。以下で紹介するトレーニングは、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』に向けてダニエル・クレイグがコンディションを整えるための代表的なものだ。

私はこの上半身のトレーニング(胸筋、背筋、腹筋、上腕筋、腹斜筋を使う懸垂の動きを優先させた)を考案し、クレイグが撮影シーンに備えられるようにした。強度が高いため、撮影所で昼夜を問わず長時間続く、過酷な撮影スケジュールをくぐり抜けられる身体をつくりあげるのに役立った。

メインの撮影が始まるころには、50歳のクレイグの身体はこれまでにないほど仕上がっていた。そのコンディションを保つために、私たちは撮影中もこのトレーニングを続けた。

その日の気分や都合でセット数も回数も調整していい

今度はあなたの番だ。この一連のトレーニングは最大限の結果を引き出し、筋力と持久力を飛躍的に向上させる。これは、上半身の重要な筋群に狙いを定めた動的トレーニングで、身体づくりに必要なすべての要素を備えている。このトレーニングはスーパーセット(ひと組の筋肉の運動を行ったあと、それに対立する別のひと組の筋肉の運動をするトレーニング)を採用している。

平均的なフィットネスレベルの人なら、この『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のトレーニングをじゅうぶんこなせるだろう。重さや回数やセット数を変えるなど、調整してかまわない。私が考え出したほかのトレーニングの計画と同じように、その日、その時間の都合や気分に合わせて微調整してほしい。

クレイグと私はこの上半身のトレーニングを1週間に2回行った。これは全体の計画の一環だった。有酸素運動と動きを重視したメニューと、脚だけと有酸素運動のメニューも、同じく週に2回行った。あなたも自分の計画にほかの活動を組み込むといい。ヨガ、水泳、自転車、球技など、心拍数が上がって楽しければなんでもかまわない。クレイグはできるだけ屋外でやるのを好んだ。そうすると、いい気分転換になるし、健康にもいい。