「ふわっ」とスルーできれば、ストレスにならない
闘牛士に向かって、巨大な猛牛が突進してきます。闘牛士はどうしますか?
ムレータ(棒についた赤い布)をヒラリとさせ、突進してくる猛牛の攻撃をよけます。考えてみれば当たり前です。猛牛と少しでも接触すれば、大怪我をするのは目に見えています。
しかし私のイメージでは、多くの人が鋼鉄の巨大な盾を構えて、猛牛を迎え撃つのです。盾は重く、立っているのもつらいですが、ガーン、ガーンとぶつかってくる衝撃をモロに受けながら、倒れまいと歯を食いしばって踏ん張ります。
しかし、ついに3度目の攻撃で我慢の限界を超え、盾もろとも弾き飛ばされるのです。
猛牛が突進してきた時の正しい対応は、次のうちどちらでしょうか?
A ムレータでひらりとかわし、ダメージをまったく受けない。
B 鋼鉄の盾で、真正面から受け止める。
どう考えても、Aのダメージを受けない対処法の方が賢いでしょう。そう思いませんか?
もしそう思うなら、現実社会でも、「スルーする」練習をしていきましょう。
ほとんどの人は、攻撃を受けた時に、スルーできません。反撃をします。
悪口を言われたら、言い返す。あるいは、直接言わないのなら、陰口で応酬する。飲み会での「上司の悪口」、女子会での「姑の悪口」も同様です。
そしてさらに、「自分はなんてダメなんだ」という自責の言葉は、「自分への攻撃」。ストレスを受けて弱っている自分に、自分でムチを打つようなものです。
嫌な出来事、つらい出来事も、「ふわっ」とスルーできれば、ストレスにはなりません。
そこで、闘牛士がムレータをヒラリとさせるのと同じような効果をもつ、知っておくと便利な魔法の言葉が3つあるので紹介します。
スルー力を高める方法を今すぐ知りたい! という気の短い人におすすめです。
スルー力を高める魔法の言葉
「会社の同僚が、やたらとマウンティングしてきます」
嫌味、悪口を言ってきたり、マウントをとろうとする人は、時々いますね。あなたが「げんなりする顔」を見たくてしょうがない。いわば、「愉快犯」です。
あなたが、「なに、くそ」という表情を見せれば見せるほど、楽しくてしょうがない。それが快感となり、何度も攻撃やマウンティングを繰り返します。
そんなことがあってムカッとした時は、「へー」と言ってください。
言い方も重要です。感情を込めずに、無機的に「へー」と発音します。
「へー、わかりました」
「へー、教えてくれて、ありがとうございます」
心のなかでは、
「へー(それはあなたの考えなので、私はどーでもよいと思いますが)」
「へー(勝手にすれば)」
と思っていてもいいでしょう。
怒り、反感、嫌悪などの感情を示して、あからさまに反論すると、火に油を注ぐ状態となります。先方との関係は泥沼化し、相手の日々の攻撃をさらに強めるだけ。あなたのストレスは、間違いなく増幅します。
クールに「へー」と言うと、相手は「肩透かし」された気がします。ちっとも、「面白くない!」のです。愉快犯を目的としているのに、「不愉快」しか感じないので、先方もあなたをスルーするようになります。