妻との出会い

そんな狩野さんの遊び相手の1人が、同学年の妻だった。

妻との出会いは大学2年のとき。妻から食事に誘われ、狩野さんの車での移動中に事故を起こした。当時、別に交際していた女性がいたが、事故をきっかけに2股がバレて気まずくなり、狩野さんから女性への連絡を断った。

「なので、1人空きができたといいましょうか……。妻から告白されて付き合い始めました。私のせいで事故を起こしたのに、それがきっかけで妻と会うのをやめるのも気が引けたような記憶もあります」

狩野さんはその後も常時複数の女性と交際していたが、それでも妻は離れていこうとしなかった。狩野さんは、「何があってもキープしておける女性という安心感」もしくは、「いざとなっても妻がいるという甘え」があったと振り返る。

若い男女がカフェでデート
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「もちろん好きでない女性とは付き合いませんが、“その時目の前にいる女性が一番好き”というフザケた男だったことは否定しません。若い頃ですから、人並みの性欲はあったはずですが、複数の女性を相手にしていればそれなりに満たされます。女性たちにしてみれば会う度に求めてくるわけでもない男、ということでかえって評判がよかったんだと思います」

女性の扱いには自信があった狩野さんだが、結婚願望は皆無。「気に入った女性と毎日一緒にいられれば楽しいだろうな」くらいにしか考えていなかった。女性に手料理を振る舞ってもらうような家庭的な行為を好まず、女性と会うときは必ず外食だった。

大学を卒業すると、狩野さんは教員に。しかし2年で転職した。当時付き合っていた妻が、「A社が社員募集してるよ、新卒じゃなくてもいいんだって」と知らせてくれたため、「じゃ、受けてみるか、応募しといてくれ」と、丸投げ。無事、選考が通り、採用が決まったのだ。結果、待遇がよくなると、狩野さんの女遊びはさらにエスカレート。それでも妻は離れていかなかった。