旧統一教会「中の人」が語る、献金献金献金の日々
安倍晋三元首相(享年67)が凶弾に倒れました。手製の銃で襲撃した山上徹也容疑者(41)は「母親が宗教団体にのめり込んで破産して、家庭が崩壊した」「安倍氏はその宗教団体のつながりがあり、恨みをもっていた」と供述していると報じられています。
強い殺意を抱いた理由が、この「宗教団体」にあるとすれば、二度とこうした痛ましい事件が起こらないために、ぜひともお伝えしておきたいことがあります。
7月11日午後、「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)が都内ホテルで会見を開き、山上容疑者の母親が「統一教会」の信者であったことを明らかにしました。
母親は1990年代に信者として所属していました。実は、筆者(57歳)も、1987年から約10年間「中の人」でしたので、活動時期が一部かぶります(面識はない)。
筆者は大学4年生の頃に、友人を通じて統一教会であることを告げられないままに、自己啓発セミナーに誘われました。それをきっかけに、就職などの先行きの不安を煽られるような形でしだいに思想を植え付けられ、入信することになりました。
「宗教団体である」という正体を隠した手法で誘われて、この自己啓発のサークルが、実は「統一教会」と知らされた時には、もはや入信せざるを得ない状況でした。だまし討ちに遭ったような形で、信者として長きにわたり、心と体をからめ捕られた時期があるのです。
この団体は、韓国人である文鮮明氏を教組として創設されました。1980年代には霊感商法事件などが全国で起きて、大きな社会問題にもなりました。また1992年8月25日に、韓国で行われた教組によって伴侶を決めて行われる合同結婚式には、歌手の桜田淳子氏も参加するなど、世の中を大いに騒がせました。
そうした騒動から、時間が流れた今、なぜ凶悪な事件が起こってしまったのでしょうか。
その背景について、筆者が一時期「中の人」だったこと、また、ジャーナリストとしてこれまで詐欺行為をするような危険な思想組織に多数潜入してきて、その状況を見聞きしてきた体験も踏まえてお伝えしたいと思います。