豪州中央銀行が大丈夫だったから日銀も大丈夫とはよく言えたものだと感心した。
学問的に中央銀行が債務超過になっても大丈夫な条件が3つある。
①債務超過が一時的だと考えられること
②中央銀行の債務超過がその国の金融システムを助けるためで中央銀行自身のオペレーションは適格におこなわれていること
③国の財政が健全化に向かっており、将来税収で、中央銀行の債務超過を補塡できる目途があること。
日銀は以上の条件を何一つ満たしていない。
なお、字数の関係で今回は触れないが、他国の中央銀行が量的引き締めに入っているときに日銀はまだ量的緩和を継続している。量的引き締めが出来ないどころか、量的緩和を継続しないと、長期金利が跳ね上がって、日銀はとんでもなく巨大な債務超過を起こしてしまうからだ。
日銀は、日本の物価上昇が激しくなっても対処する手段が無い。債務超過がでかくなりすぎるからだ。
自分の資産を守るために備えるべきだ
現在、黒田総裁が退任する4月以降、新総裁が金融政策を変更するだろうと予想する人がいる。特に事情に詳しくない外国人は、そう信じ、それ故に為替は円高へとトレンドが変わると予想する人が多いようだ。
しかし今まで見てきたように政策変更といっても日銀は長期金利を0.1%上げるとか、たった24兆(9月16日から10月15日までの平残)にしか適用されていないマイナス金利を廃止するとか実質的になんの影響もない政策変更しかできない。すさまじい債務超過が怖いのだ。
物価上昇しても何もできない日銀は、すでに中央銀行の体をなしていない。私が日銀を新しい中央銀行にとっかえざるを得ない、すなわち円の紙くず化は近い、と予想している理由だ。早く円をドル資産(それも現金に近いドルのMMFのようなもの)に替えて自分を守る体制を整えておくことをお勧めする。
もし雨宮氏が次期日銀総裁への就任を固辞すれば、日銀崩壊は、ほぼ確定的であろう。頭の良い雨宮副総裁は、黒田総裁同様、日銀の窮状を十二分にわかっているはずだからだ。その中央銀行が火中の栗を拾うわけにはいかないだろう。
日銀をつぶした最後の総裁という汚名は着たくないと思う。