日中のストレスが夜のスマホ使用を促している
人間には、寝る前に入眠儀式としてついついやってしまうことがあります。昔ならば、読書が代表的な儀式でした。この寝る前についやってしまうことには専門用語がついていて、Bedtime Procrastinationといいます。現代の代表的なBedtime Procrastinationがスマホであることは、いうまでもないでしょう。
問題は、どういう人が夜にスマホにはまって、寝つきが悪くなってしまうかです。オランダ、ユトレヒト大学の研究グループは、平均年齢35歳(18~75歳)の成人218人を対象に、日中の行動やストレスや夜のスマホ使用との関係を調べました。その結果、日中にやりたいことを我慢している回数が多いほど、夜のスマホ使用が増加するとの結果でした。
日中の欲求は、人によってさまざまでしょう。しかし、「人と接したい」というのは、人間の根源的な欲求です。この人との接触、コミュニケーションという欲求が満たせない環境は、不安レベルを高めて、夜の不眠、ひいてはスマホによる情報探索に人々を向かわせてしまうのではないかと考えられます。
個人で仕事をしていたり、リモートワークが多い職場で働いているなら、人とのコミュニケーションが維持できるようにしていくことは、メンタルヘルスのためにも非常に重要です。
「日中に人と話す」を意識すべき
コロナ禍も一段落して、これからは人と会う機会が増えてくると思います。フルリモートワークができる環境だとしても、出勤日を設けたほうがいい場合もあります。リアルな出勤や対面での会話が難しい状況なら、SNSやチャットでやり取りするだけでも、一日中孤独な作業を続けているよりもよい効果があります。仕事のことばかりでなく、「最近どう?」的な雑談が、孤独という脅威からわたしたちを守ってくれるのです。
日中のコミュニケーション不足は、入眠儀式としての夜スマホを強化している可能性があります。日中に人と話す、特に用事がなくても誰かとやり取りする、などの小さな行動が、夜スマホを減らしたり、スマホを見たまま寝落ちできるなどのメンタルの安定をもたらし、ひいては睡眠や生活リズムも改善し、心身にとってよい循環をもたらしてくれるのです。
「コミュニケーションのお休み」が続くと不安レベルの高まりや、心身のリズムの乱れにつながります。こんな時代だからこそ「日中に人と話す」ことを意識しましょう。