ブドウの皮には抗老化作用が含まれている

(4)色のついた野菜(さらに70g)や果物(さらに100g)を摂る習慣をつけましょう。同時にコーヒー(5杯程度まで)、緑茶を習慣的に適量摂りましょう。

ポリフェノール類にさまざまな機能があることが知られています。食品の3次機能の多くは、食品中の微量非栄養素であるポリフェノール類に起因しています。老化を抑制するセノリティクスとして見出されたケルセチン(玉ねぎなど)、フィセチン(イチゴなど)、抗老化作用が話題となったレスベラトロール(ブドウ果皮)もポリフェノール類です。

ブドウ
写真=iStock.com/Wako Megumi
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食材の色素成分の多くはポリフェノール類であり、色のついた野菜や果物を十分量摂ることは重要です。野菜類の1日の摂取目標は350g程度とされていますが、平均摂取量は280g程度です。今より70g程度多く摂取することを心がけましょう。

また果物の1日摂取目標量は200gとされていますが、実際の摂取量は半分程度で100g程今より余分に摂ることが望まれます。さらに大豆に含まれるイソフラボンは閉経後の女性にとって女性ホルモンの代わりとなり、骨粗鬆症、虚血性心疾患などの発症を遅らせることが期待されます。また、高齢男性で増加が懸念される前立腺がんの発症の予防にも貢献します。

コーヒーは「1日5杯」までを目安に

緑茶に含まれるカテキン類も多様な健康機能を持つフラボノイド類ポリフェノールです。日本人の日常的な食生活の中で主要なポリフェノール供給源となっているのはコーヒー、緑茶という調査結果があり、これらの飲料を習慣的に適量摂取することも大事です。コーヒーは1日5杯程度を上限に楽しむことが推奨されています。

(5)高齢期からは、筋量維持のために乳清タンパク質、分岐鎖アミノ酸等を含む機能性食品、サプリメント等を利用し、運動を食べましょう。

自立活動期間を少しでも長くするには老化スピードを遅らせ、介護原因の上位に位置する脳血管疾患を中年期に発症させないことが必要です。また、高齢に達してからも習慣的な運動と健全な食生活を心がけることが重要です。

しかし加齢により食が細くなり、栄養素の吸収率も全般的に低下することから、高齢者にとって食生活の改善だけでは不十分となることも考えられます。そのような状況下では機能性食品成分を含む食品、サプリメントを活用することも一助となるでしょう。

そこでは私たちが見出した各種トリテルペン類(柑橘成分のノミリン、オリーブ由来のマスリン酸等)を活用することも考えられますし、タンパク質合成を促す分岐鎖アミノ酸等をサプリメントとして補給し、「運動を食べる」ことも賢い選択となるでしょう。さらにカロリー制限食により老化速度が遅くなり、寿命の延伸につながることが古くより知られています。