「部下との関係において、えこひいきがあることは決してよくない。とくに今の時代は女性の部下や年上の部下を使うのは決して珍しくない。育成や評価では公正・平等に見ることが極めて重要だ。とくに人事考課が適正にできる人が優秀な管理職であり、逆にできない人は役職から退くべきだと思う。上司や人事部も部下との関係でうまく立ち回れる人なのかどうかを見ており、課長にしたことで職場に軋轢が生まれ、ぎくしゃくすることを恐れている」

パーソネル・ブレイン代表取締役
二宮 孝

人事労務コンサルタント。1955年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業。東証一部上場商社人事部、米国系メーカー人事部、ダイヤモンドビジネスコンサルティング(現在、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独立。近著に『雇用ボーダーレス時代の最適人事管理マニュアル』(中央経済社)がある。

とくに最近では精神的タフさも要求されるという。経営のスピード化やグローバル化、ビジネスモデルの変化が激しい環境下ではストレスもたまりやすい。実際にメンタル面の不調で休職している人も多い。仕事や部下との関係においてストレス耐性があるかどうかもチェックされている。

「昔と違って仕事が多様化し、部下に対して自分が模範的な腕前を見せることがなかなか難しくなっている。多くの管理職が手腕そのものは部下にかなわない状況に直面し、本来のマネジメント能力が問われている。女性や年上の部下だけではなく、異質・異能のとんがった部下もいれば、中国人など外国人の部下もいるなど部下も多様化して非常に使いづらい。精神的なタフさを含めた管理職の適性が今まで以上に重視されている」(二宮氏)

精神的タフさは、グローバル化の加速で新興国への海外出張が頻繁に発生する状況では重要な要件でもある。その場合に本人だけではなく「家族のタフさも要求される。ある海外事務所では離婚が続くといった話もあり、妻のタフネスさや適応性も非常に問われている」(二宮氏)という。

化学メーカーの人事部長も「優秀な社員を海外に送っても妻がノイローゼになり、家族の手当てに翻弄されてしまう事例も少なくない。肝が据わった妻かどうかも調査したうえで派遣しなければならなくなっている」と指摘する。

※すべて雑誌掲載当時

(小原孝博=撮影 image navi=写真)
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