仕事の能力か、上司との関係性か……すべてにおいて変化の著しい現代のビジネスシーンで出世するためには、どんな能力が必要なのか? 各年代ごとに求められる、出世のための条件を考える。
変わりつつある中堅の評価ポイント
将来の経営幹部になるための最初の関門は課長への昇進である。同時に課長に登用されるか、されないかが会社の本人への期待度を測る試金石でもある。近年、課長の昇進年齢は早まっており、最も早い人で34歳、標準で39歳だ(労務行政研究所調査)。遅くても40歳までに課長になれなければ、その上のポストを目指すことは難しいだろう。
従来の課長への抜擢は、本人にはわからない密室で決められ、突然辞令が下りる、神のみぞ知る世界だった。だが、最近では多くの企業がさまざまな角度から課長の適性を測る仕組みを導入している。
課長登用の最大の要件は過去3年ないし5年の人事考課の成績である。人事考課でもとくに重視しているのが業績よりも能力・行動評価である。評価項目は企業によって異なるが、たとえば医療機器メーカー大手のテルモの能力評価の項目は、企画立案(企画・構想力)、実践行動、対人組織(リーダーシップ、人材育成)、自己革新(セルフマネジメント、執着心)の4つについて5段階で評価している。
人事考課に加えて上司の推薦や筆記試験、レポート、面接なども課している企業も増えている。
「現在の部門の課題の認識を問う4000字程度のレポートを書かせたり、熱心な企業では役員の前でプレゼンテーションをさせて、その能力も見ている。また、筆記試験だけではなく面接を行い、ペーパーテストの点数は高くても仕事に熱心ではない人を排除するなど総合的に判断している」(パーソネル・ブレイン二宮孝代表取締役)