仕事の能力か、上司との関係性か……すべてにおいて変化の著しい現代のビジネスシーンで出世するためには、どんな能力が必要なのか? 各年代ごとに求められる、出世のための条件を考える。
あまり異論が出ない将来の社長候補
入社後の昇進レースに勝ち残り、役員や社長になれるのはほんの一握りの人にすぎない。しかも役員・社長候補である部長や執行役員はいずれ劣らぬ実績を持つ各部門のトップバッターである。
二宮氏は部門のトップにいる人に共通するのは「部門全体のマネジメントがしっかりとできるうえに、業績を最低限維持し、さらに将来のビジネスを開拓していける人」と語る。また、課長と部長以上の役職者の違いについて大手電機メーカーの人事部長は「課長は上からの指示に常に100点の行動を取り続けることが求められるが、部長に昇進するには自分で問題を発見し、それを自分の問題として解決できるアウトプット能力の持ち主」と指摘する。
インプット、アウトプット双方の能力が高い人がビジネスパーソンの成功者の要件といわれる。あるコンサルタント会社が入社後間もない若手社員について調査・分析した結果、インプット、アウトプット双方の能力を有している者は5%もいなかった一方、企業の部長以上の幹部クラスを対象にしたアセスメントでは、双方の能力を有している者が約60%いたという。経営幹部クラスは間違いなくアウトプット能力が高いのである。
ではその中からどうやって役員を選出するのか。二宮氏は執行役員を競わせながら適性を判断する企業もあると語る。
「執行役員制が機能している会社では、40代半ばから50代前後に執行役員として選抜して競わせているようだ。たとえば従業員1000人規模の企業では、比較的近い年代の10人ぐらいの執行役員を役員候補者として競わせて、最終的に業績はもちろん、能力や適性を見極めて役員に抜擢している。役員になれなかった人は関連会社の役員に起用するなど、執行役員が結構分岐点になっている」