教育費をかけすぎて住宅ローンが払えない

「学費上昇はさまざまな要因がありますが、一つには少子化の影響があります。また親世代よりも教育の内容が多様化し、英語やプログラミング、ICT(情報通信技術)などさまざまな教育が行われるようになったことも関係しているでしょう。塾や習い事などの選択肢が増え、親世代よりも通塾率は上がっています。塾にも集団塾、個別指導塾、オンライン指導などいろんな種類があり、複数通うこともできます」(西山さん、以下同)

また親の子育て観も関係していると西山さんは指摘する。

「子供の可能性を広げてやりたいと、自分が親からしてもらった以上の教育を子供に受けさせたいと考える親御さんは多いでしょう。そうすると習い事をたくさんさせるなど教育費もかさみます」

SNSなどの普及でさまざまな情報が入ってくるようになった。合格実績が高い塾ができた、留学して英語力がついた、といった情報が目に入ると、「うちの子も」という気持ちになってしまうのかもしれない。

高まる教育熱の一方で、注意したいのは教育費が膨らみ家計を圧迫してしまうこと。

「教育費をかけすぎて、家計は火の車、住宅ローンを払うのがかなり厳しいというケースは少なくありません。ただあまり表に出ないんですね。家計の状況はご家庭によって違うので、わが家の場合は払い続けられるかと常に考える必要があります」

ここにきて政府は児童手当の所得制限を撤廃する案を出したり、さまざまな手当を給付したりする動きを見せているが、あまり期待せずに備えたほうがいいと西山さんは考えている。

「今後、日本でも諸外国のように、大学の費用が安くなったり無料になったりと、教育費負担が少なくなる可能性はあります。ただ、何年後になるかわかりませんし、所得制限に引っかかったり、制度が変更されたりする可能性もあります。基本的にはないと思って準備したほうがいいでしょう」