最も多い入居者トラブルは「騒音」
コロナ禍になって、リモートワークという新しい働き方、ライフスタイルが浸透する中で、現在都内ではワンルームを中心とした賃貸マンション相場は一部の高額物件を除いて、非常に厳しいマーケット環境にある。その一方で狭小住宅は背景にあるミニマリストのような生活価値観の台頭も含め、マーケットで着実に支持されるようになっている。
では狭小住宅は順風満帆でこの事業に死角はないのだろうか。デメリットを考えよう。入居者にとって狭小住宅は、たしかに合理的な住宅であり使いやすい反面、狭小であるがゆえのトラブルもある。
最も多いトラブルが音の問題だ。アパート仕様であればもともと音の問題は避けて通れないのだが、通常のアパートやワンルームよりも部屋と部屋が接しているために、シャワーやトイレの音、話し声、音楽などの生活音でのトラブルは多いようだ。
隣人トラブルのリスクも覚悟しなければいけない
また、ミニマリストの生活価値に合っているとはいえ、もちろん家賃を負担する能力が不足している貧困層や言葉が通じにくい外国人層にもニーズがあるため、狭小住宅内での生活習慣の違いや貧富の差から生じるトラブルも後を絶たないのが現状だ。
事業主側からみても、確かに収益性が高い一方で、通常のワンルームマンションやアパートに比べて住戸面積が狭く住設機器などの設置数が増えるため、建築費が割高になる、住戸間でトラブルなどが発生すると、住戸間距離が狭いがゆえに、環境変化を嫌った入居者が一斉に退去し空室率が一気に高まるなどのリスクが指摘されている。
また貧困層や外国人が集まってしまうと住民間のトラブルだけでなく、賃料の滞納や契約不履行などのトラブルが生じることも、通常の物件よりも多くなるリスクを覚悟する必要がありそうだ。
だがこの狭小住宅、これまでの「成長する」「大きくなる」のはよいことだ、と思ってきた昭和平成型の価値観を大きく覆す考え方を体現したものとして今後も注目を集めそうだ。
人々の生活にシェアリングという発想がどんどん取り込まれていくこれから、狭小住宅の存在感はますます高まっていくことであろう。その動向には目を離せないものがある。