オナホとYOASOBIの共通点

確かにオナホの商品数はかなり多く、「ロリ系」「お姉さん系」「熟女系」「巨乳系」「貧乳系」「清楚せいそ系」「ギャル系」「メイド系」「AV女優イメージ」「人気アニメキャライメージ」など、多様なパッケージがラインナップとして存在しています。

ただ、パッケージごとに細分化はされているものの、オナホ自体の商品特徴は明確には分かれていません。

「クリエイティブ力」という言語化しにくい芸術性で顧客へのアプローチを競う市場に、「コンセプト力」という明確なベネフィットと特徴を持つ商品で参入すれば、勝利できる予感がしました。

従来とは全く違う武器で戦えば、勝率は上がります(そういえば、私が幼児だったとき、戦いごっこが流行ったことがあります。みんなが新聞紙を筒状に丸めた剣で戦っている中、弓矢を模した飛び道具を作って挑んだら圧勝したのを思い出しました)。

クリエイティブで競われていた市場にコンセプト力で参入した事例として、大ヒットしたYOASOBIも挙げられるでしょう。

それまでの音楽市場は、まさに音楽性という「クリエイティブ力」の戦いでした。

「人々の五感にどうやって呼びかけるか」という評価指標がわかりにくい芸術性で争われる市場に対して、「小説を題材にした楽曲」という明確なコンセプトで参入したことが、YOASOBIが大きな注目を集めることに成功した要因の1つだと思っています(もちろん曲自体も間違いなく素敵です。オナホと一緒にしてしまってごめんなさい。大ファンです)。

「買い方がよくわからない」2000億円以上のマーケット

その他にも、スマホケースの「iFace」も挙げられます。

それまでのスマホケース市場は「なんとなくデザインで選ぶ」というのが実態でしたが、iFaceは「握りやすく、衝撃に強い」という機能性を訴求したコンセプトで、大ブレイクしました。

私が高校生のときは、クラスメイトのほとんどがiFaceを使っていました。

クリエイティブで勝負が決まる市場は、「なんとなく買い」をされていることが多いです。

購入顧客に対して「どうしてこれを買ったの?」と聞いても、顧客自身すら明確な回答ができません。

そんな「買い方がよくわからない」オナホを含むアダルトグッズ市場ですが、市場規模は2019年時点で2000億円以上ありました。

みんな、買い方がわからないながらも、オナホを欲して、手探りでオナホを購入し続けているのです。

購入理由が曖昧な顧客に対して、購入理由が明確になるような「コンセプト力の高い商品」を用意することで、新規参入商品でも優位性が高くなり、勝率が上がるのです。

「少し冒険」でき「欲求が深い」領域を選ぶ

また、新規参入でも勝率をさらに高めるためには、「買う側がちょっと冒険したくなる市場」を選ぶのも重要です。

大型家電などの絶対に失敗したくない大きな買い物、頻繁に買い替えるわけではない買い物は、みんな冒険を恐れて安パイを取りがちです。

その結果、どんなに目を引くコンセプトを用意したところで、未知の新規ブランドよりも、実績のある安心な老舗ブランドが選ばれる可能性が高いのです。

「失敗してもいいから、面白そうなこの新商品を試してみよう」と顧客が少し冒険したくなるような商品ジャンルは、コンセプト力の高い新規商品との相性が良いでしょう。

さらに、「欲求が深い市場」であればなお良いです。

欲求が深ければ深いほど、顧客がその欲求を満たすために使える金額が上がり、市場規模が大きくなるからです。

市場規模が大きければ大きいほど、事業が成功したときの売上見込みが上がるため、事業としての期待値が大きくなります。