知見のない領域のビジネスで成果を出すにはどうすればいいか。起業家の神山理子さんは「もともと下ネタは苦手だったが、師匠からの助言で男性向けグッズ『オナホ』領域のリサーチをし、起業することを決めた。クリエイティブで競われている市場にコンセプト力で参入できることに勝機を感じた」という――。

※本稿は、神山理子『女子大生、オナホを売る。』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

宅配で届いた商品を確認する女性
写真=iStock.com/miniseries
※写真はイメージです

「エロワードを聞くだけで吐き気がする」からスタート

こんにちは、神山理子(リコピン)です。

25歳です。

18歳から楽曲制作の仕事を始めて、20歳でシンガポールの会社にてWebマーケティングの修行をして、音楽メディアを業界No.1までグロースして事業売却、21歳でオナホD2Cの会社を創業して、販売初日にAmazon売れ筋ランキング4位を獲得、22歳で4つのD2Cブランドを創業、24歳で売却をしました。

もともと下ネタが苦手な女子大生だった私が、なぜオナホD2Cを立ち上げたのか。コンセプト勝ちで売れるコンテンツやモノをつくるための思考や経験を紹介していきます。

さて、話は20歳のときに遡ります。

当時私は、音楽SEOメディアを売却したことで、直近にやるべき目の前の仕事が何もなくなりました。

「さてとこれからは何をしたらいいかな」と考えていたら、師匠との飲みの場で「新規事業やったらええやん!」と言われて、新規事業を立ち上げることになりました。

そして事業のネタ探しを始めました。

2週間ほど、片っ端からあれこれと市場調査をしてみたものの、「これだ!」と叫べるようなものは見つけられませんでした。

それまで音楽領域に特化していたせいで、他の市場についての知見があまりにも乏しすぎたのです。

日頃からのリサーチを怠っている人間が、突然「新規領域で事業を立ち上げよう!」とリサーチをしたところで、付け焼き刃でしかありませんでした。

考えてみると、周囲の事業立ち上げが上手い先輩は、本人の趣味や興味の範囲が幅広かったり、とある領域に特化した友人をたくさん持っていたりして、日頃から自分の生活範囲よりも広く市場への理解があります。

これを痛感してからは、「自分とは違う生活圏で暮らす人」「とある領域に突き抜けた人」には積極的に会うようにしています。

それでもなんとか見つけ出した市場での事業案として「“めちゃくちゃキツいけど稼げるブラックバイトの求人メディア”でも立ち上げようかな」と、今考えるとかなり邪な思いを馳せていたところ、師匠から「オナホ作れば?」と超絶軽いノリで言われました。

当時の私は、エロがめちゃくちゃ苦手でした。

エロワードを聞くだけで吐き気がするし、AVを見ると動悸どうきがするくらい、エロに耐性がありませんでした。

しかし、背に腹は代えられません。

新規事業、作りたい。

言われるがまま、オナホ領域へのリサーチが始まりました。

そして気づきました。

オナホ領域は、調べれば調べるほどいろんな意味でアツい市場だったのです。