ビジネスで競合に勝つための方法は何か。起業家の神山理子さんは「定番ブランドがあっても、参入していないセグメント領域を見つけて参入できるかどうか見極めることが大切だ。私がオナホD2Cを始めた21歳当時、オナホブランド『TENGA』は使い捨てタイプで知名度が高かったものの、何度も洗えるタイプに定番ブランドは存在していなかった」という――。

※本稿は、神山理子『女子大生、オナホを売る。』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Tevarak
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「狂った熱量」は事業を伸ばす上で強い武器になる

他社が参入しづらい領域を選ぶことも大切ですが、このときに参入障壁になる要素としては「自分の強みが活かせる」や「他社がコンプライアンス的に参入できない」などが挙げられます。

私がやっていた音楽メディアの場合、私が元々音楽をずっとやってきていることに加え、収益化をしていて、音楽に対しての知見や熱量が人よりもかなり多いという強みがありました。

「自分の得意分野である」というのは、新規参入の際に考慮してよい条件です。

「人よりもめちゃくちゃ好き」という狂った熱量は、事業を伸ばす上で想像以上に強い武器になります。

ここで重要なのは人よりも“めちゃくちゃ”好きということです。

「人並みに好き」程度では強みにならず、人がついていけないくらい狂ったように好きで初めて、競合と戦える武器になります。

オナホ市場の場合、当時はWebマーケティングで圧勝しているオナホメーカーがまだ存在していませんでした(最近ではWebマーケティング発のD2Cブランドが増えていますが、オナホ市場ではWebマーケティング発のD2Cブランドはまだ存在していなかったのです)。

昔ながらの老舗メーカーが多く、「Webでも販売はしているものの、主な販路は小売店」という販売会社がほとんどでした。

つまり、私が得意なWebマーケティングが強みになるということです。

さらにアダルトグッズだと、「上場企業」や「上場を視野に入れている企業」が参入できないという「他社がコンプライアンス的に参入できない」という障壁もあります。

そのため、市場規模が大きいにもかかわらず、競合数が少ないのです。