そしてもう1つ、意識して頂きたいことがあります。
筋肉を使っていないと、筋肉は体の「前側」にどんどん引っ張られます。猫背や巻き肩は、典型的に背中の筋肉が前に集まってしまった状態です。腕は内側にねじれて、肩が内側に巻き込まれ、背中の筋肉は前のほうに引っ張られています。首から肩、背中にかけて筋肉が前のほうに引っ張られて、突っ張っているような状態です。
下半身も同様です。背中の筋肉が固くなると、連動してお尻や太ももの筋肉も前に引っ張られます。本来、お尻の中心に筋肉が寄っている状態が自然なのですが、前に引っ張られてしまうと、筋肉はつぶれて広がります。
ラクに動けて、なおかつ崩れた体形を元に戻すためには、背中をゆるめる筋肉は「ゆるめて、集める」ことが大切であると同時に、「背中に筋肉を集める」ことがとても大切です。
ゆらす、細かく動かす、緊張させて解放させる
「背中に筋肉を集める」というのは、骨に引っ張られて前のほうに寄ってしまった筋肉を、後ろに戻すということです。本来、筋肉は後ろに集まっているのが自然な状態です。
筋肉が前に寄って固くなると、体を動かすときのブレーキになってしまいます。体が動かしづらくなるので、腕の可動域は狭くなりますし、歩くときに太ももが前に出づらくなります。
体の後ろにしっかりと筋肉が集まっていると、このブレーキが外れて、とても自然体でラクに動けるようになります。もちろん、筋肉が後ろに集まると、ほっそりとしてスリムに見えます。
デスク作業やスマホ操作などの合間に、10秒だけ、背中をゆるめることを考えてください。この10秒が、とても効果的なのです。固くなった背中をゆるめるには、激しく大きな動作ではなく、小刻みで小さな動作が必要です。
筋肉は、「ゆらす」、「細かく動かす」、「緊張させて解放させる」などの動作でゆるめることができます。例えば、イスに座ったとき、フニャ~ッと背中を丸めます。
すきまの10秒を、筋肉をゆるめる時間にあててほしい
これだけでも「緊張させて解放させる」という動作になります。長時間同じ姿勢でいたり、動かさない状態が続いたりすると筋肉は固くなります。だからこそ、日常のすきまに、10秒だけゆるめることを習慣にしていただきたいと思います。
1日の中で10秒を何度か繰り返してみてください。10秒とはいえ、貴重な時間です。目まぐるしい日常の中ではどうしても優先順位が下がり、忘れてしまいがちです。
そこで、「パソコン作業中に、お茶を飲むタイミングで一緒に行う」「スーパーのレジ待ちの時間で行う」など、マイルールにしてしまうと良いでしょう。
自分が忘れないタイミングで続けられることがポイントです。