胸や背中の筋肉をゆるめることが必要だ

筋肉が固くなると、周囲の骨が筋肉に引っ張られてしまいます。骨は本来の位置に戻れなくなります。これが、猫背の状態です。

筋肉が固まった状態でどんなにストレッチをして筋肉を寄せても、骨が正しいポジションに戻ってくれることはありません。筋肉が固くなることで、関節の可動域が狭くなっているからです。

巻き肩や猫背を改善するには、胸や背中の筋肉をゆるめることが必要です。筋肉をゆるめることで、肩甲骨の可動域が広がって肩が開くようになります。

がんばって時間を作って、わざわざストレッチをするよりも、歩きながら全身の筋肉を動かしたり、座りながら小まめに筋肉を動かしたりするほうが、効果的にゆるめることができます。結果、可動域も広がります。

ストレッチと同様、ハードな運動をしている人も要注意です。

ジムや自宅で日常的に筋トレをしている人は、「背中を十分に動かしている!」という自信があるかもしれません。チェストプレスやベンチプレスなどのトレーニングマシンは、いかにも上半身の筋肉をしっかりと動かし、鍛えているようなイメージですね。

運動する人も背中の筋肉は固くなりやすい

筋トレ以外にも、定期的にテニスをしたり、ランニングをしたり、ゴルフをしたりと、「しっかりと運動をしている」人は、背中の筋肉が十分に柔らかい状態なのでしょうか? 残念ながら、そうではありません。

例えばチェストプレスで腕をガシガシと前後に動かし、胸や腕、背中の筋肉を大きく動かしているつもりでも、実は思ったほど筋肉が動いていないという人が多いのです。なぜならば、筋肉をゆるめていないからです。

筋肉が固い状態でどんなに激しく動かしても、筋肉の伸縮性がなく、可動域が狭まっているため思うように縮みませんし、伸長もしません。場合によっては筋を痛めてしまいます。だからこそ、まずは背中の筋肉の緊張を取ることが大切なのです。

先ほど挙げたチェストプレスで鍛える主な筋肉は、大胸筋(胸の筋肉)・上腕三頭筋(腕の後ろ側の筋肉)・三角筋(肩の筋肉)です。

背中の大きな筋肉である広背筋をゆるめることで、広背筋と「対」になって伸び縮みする大胸筋が動きやすくなりますし、肩まわりもゆるみ、骨が本来の位置で機能的に動かせるようになります。

筋肉は、使っていないと前側に引っ張られていく

運動は悪いことではありません。筋肉は使わないと固くなってしまうのも事実です。でも、「激しく大きく」動かしても筋肉はゆるみません。ぜひ、「ラクに小さく」動かすことも意識してみてください。