鉄鋼メーカーにエンジニアとして勤務していた30歳当時、ベビー・子供用品の小売業である当社へ転職するかどうか迷っていた。
ちょうどその頃、本書の底本である『チェーンストア経営の目的と現状』に出合った。欧米先進国では、標準化された多数の店舗を持つチェーンストアが、鉄鋼業と同様の基幹産業となっている。感銘を受けたのは、この産業が「国民・消費者の日常の暮らしを豊かにするのに不可欠である」という論旨。これが私の決断を後押ししてくれた。当社は現在も、本書をもとにチェーンストアシステムの構築を進めている。社員には入社が決まった段階で本書を手渡し、当社の仕事の社会的意義とその使命を学んでもらっている。