誰が総裁になっても日銀は再起不能

私は参議院議員時代、「黒田総裁には(退任という)出口があるが、日銀には出口はないのでは?」と攻め続けてきたが、まさにその通りになりつつある。字数の関係で、日銀に出口がない理由は、プレジデントオンラインに以前書いた記事をご参照されたい。

日銀がどうしようもない状態であるのは、黒田総裁の行動からもわかる。

政府がガソリン補助や電気代補助などの物価対策を打っているのに、物価対策で前面に立つべき日銀が“知らんぷり”をしている。それどころか、政府とは真逆の行動を取っている。国債の爆買いを続け、お金を市場に流し込み、史上稀なる強烈な量的緩和、すなわち物価を上げる政策を取っている。

それはなぜか。どんな詭弁きべんを使おうと、黒田総裁は日銀の債務超過が怖いのだ。もはや日銀が買い支えなければ、国債の暴落・金利急騰は避けられない事態にまでなっているからだ。

さらに金融緩和を続けなければ、日銀は多額の含み損を抱えることになる。財務省財務官、アジア開発銀行総裁を務めた黒田氏は、世界が相手の信用(日銀を含む)を時価会計で評価することを知っている。そして中央銀行が債務超過になった時の怖さも熟知しているからだ。

【図表】国債等の保有者内訳
出典=日本銀行調査統計局「2022年第3四半期の資金循環(速報)」(2022年12月19日)を基に、編集部で一部加工

植田氏は21年前に指摘していた金融緩和の重大リスク

実は、この点を植田氏は20年も前に看破している。2003年10月28日の日本金融学会の講演録を精読していただきたい。

植田氏は「(債務超過のリスクを意識するようになると)債務超過に陥る前からその可能性(注:債務超過)を高める引き締め政策を躊躇ちゅうちょしてしまうリスクも無視できない」とある。これこそ黒田総裁が、現在物価高にもかかわらず利上げできない理由だ。植田氏はそれを20年前に明確に予言しているのだ。

植田氏は、異次元の金融緩和を続けた日銀に出口があると思っているのだろうか。私はかなり疑問だ。少なくとも出口を抜ける際には、ものすごい被害が発生することだけは認識していらっしゃる。問題はどの程度の被害になるか、だけだ。

2001年3月19日の日銀政策員会・金融決定会合の議事録(P105~106を参照されたい。)議事録によると、植田氏はこう述べている。

「最初の当座預金残高5兆円は大まかにゼロ金利を実現するための金利調節である。その後予想される道筋は、しばらくって見ると大して景気も良くならないし、場合によっては物価も下がり続けている。そして日銀に対してさらなる緩和要求きて5兆円といったように動かせるものを作ってしまったから6兆円にしよう、7兆円にしようとなる訳である。7兆円にするときに何ができるかと言えば普通の短期金融資産では恐らく無理になってくるであろうから、長期国債買いオペの増額と思う。それで期待インフレ率が上がって金利上がっていったり、景気が良くなっていくとなればよいが、ならないと地獄になる」