定期的に繰り返される「お直し」

営業の社会人経験が生きている。仕事のスキルをパパ活に生かすのには切実な理由がある。美容整形は、施術して終わりではないからだ。

もともと自然にある筋肉などに手を入れているから、放置すると歪みのようなものが出てしまい、それを定期的に補正しなければならない。

「二重まぶたの幅が左右ずれるといった小さなものから、鼻のプロテーゼの交換手術など、『お直し』が必要です。絶対はないんですよね。何度やっても怖いですよ。でも、やるたびに、あそこが嫌だ、ここがイヤだと感じるようになる」

美容院でフェイスリフトを持つ若い女性
写真=iStock.com/Liderina
※写真はイメージです

コロナ禍で春香さんは、骨を削ったという。

「私はあごが長く、えらが張っているのが本当に嫌なんですよね。マスクで隠せるからこそ、嫌悪感がすごくなりました。骨を削ることは、ダウンタイムが長い。コロナ禍で人と会わなくて済むから、決心したんです」

顔の骨をガリガリと削る……聞いているだけで背中がゾッとする人もいるだろう。ダウンタイムも2カ月間で、術後は顔が倍に腫れたという。

「術中は麻酔をしているから痛くないですが、その後は激痛が続く。でもダウンタイムが明けたらキレイになっているんです」

美容整形していれば、いじめられなかったか

取材当時、32歳の春香さんと話していると、10代後半の女性と話しているような感覚に陥る。自分ではない何かになりたくて、ブランドものを欲しがったり、必死でダイエットをしたりしていた10代の頃。その当時の自分やその仲間たちのようだ。

そんなふうに考えていると、目の前の春香さんが「今の10代はいいですよね」と言うので、ドキッとした。

「だって、アプリが発達して、自撮り画像がいくらでもかわいく盛れる。私の時代は、当時人気だったアイドル顔や女優の顔になりたいと、その写真を持って行くしかなかった。自分と違う顔になるから、負荷がかかった。でも今の子は、自分の顔をベースに理想の顔を作れる。それってすごくいいと思うんです」

春香さんは小学校から中学校の約9年間、容姿を原因に壮絶ないじめを受けた。そのときに、美容整形の施術を受けていれば、いじめられなかったのではないかという「もしも」を生きているようにも感じた。

「それはないと思います。あのときに、痩せて、歯列矯正をして、目と鼻をかわいくしても、いじめられていたと思う。なんだろう……、“空気”ができちゃうと変えられないし、いじめってそんな単純じゃないですよ。これはいじめられた人じゃないとわからない。環境を変えないと無理なんです」