あなたの“睡眠の質”を調べる8つの質問

「日中の生活や社会活動に影響があるかどうか」は、WHOが作った不眠検査(アテネ不眠尺度)で、ある程度セルフチェックが可能です。

Q1は入眠困難、Q2は中途覚醒、Q3は早朝覚醒と睡眠の持続に関わる症状についての質問です。Q4とQ5は睡眠の量と質に関わる不満足感で、本人にしかわからないものです。Q6~Q8は睡眠が十分にとれていないときに起こる日中の症状(悪影響)といってよいでしょう。

睡眠のリズムには遺伝子の影響もありますが、24時間社会における現代の仕事との付き合い方において工夫が必要なことも多いです。就職したばかりの私の友人Bさんが、交代勤務に慣れず「人間は朝起きる生き物だよ」と辛そうに語った言葉を思い出します。

「睡眠負債」は怖い病気のリスクを上昇させる

良質な睡眠は、覚醒時の心と体の状態を正常に戻します。反対に、睡眠をはく奪するとさまざまな不具合やリバウンド現象が起こることから、睡眠学者のディメントは「睡眠を健全にしない限り、健康にはなれない」と述べています。睡眠は心身の健康の維持にとって必要であると推測されているのです。

ディメントは睡眠不足が数週間単位で慢性化する状態を「睡眠負債」と呼びました。こうした睡眠不足の悪影響は、免疫系の衰え、糖尿病、ガン、肥満、もの忘れの増加、老化の加速、性欲の減退、望まない脂肪の蓄積、アルツハイマー病、うつ病、心臓病のリスク上昇と、枚挙にいとまがありません。

脳の老廃物であるアミロイドβは睡眠中に脳脊髄液によって洗い流されるとのことで、夜間の良質な睡眠は脳のクリーニングをしているといっていいかもしれません。

以上の研究結果などをもとに、認知症予防と睡眠の質向上の関係性などが夢の研究分野のホットなテーマになっています。

「結局、何時間睡眠がベストなのか」の答え

私たちが必要とする適正な睡眠時間は何時間なのでしょうか。

ひとつの指標として、日中に眠気、パフォーマンスの低下、ネガティブな気分など不具合がでないために必要な時間であるといえるでしょう。「アテネ不眠尺度」のなかにある6、7、8の質問の答えが(0)になる時間ということです。

さらに、睡眠が十分にとれる状況で、午前10時から11時の間に眠気がなく、カフェインの補給を必要としない――など、日中の不具合がない場合には睡眠負債がないといってよいでしょう。