有名な「ワレ惟ウ、故ニワレ在リ」というくだりは、同書の第四部に存在する。しかしながら、影響を受けたのは、第二部の「難問の一つ一つを分割する」の個所だ。

デカルトは「難問は全体から解こうとしても難しいが、因数分解して考えれば答えは必ず見つかる」という趣旨のことを言っている。私はこれを自分流に「困難を分割せよ」と言い換えている。

人生にはいろいろな局面があり、思い通りにいかないことも多い。こうしたときに、いつまでも独りで悩むのではなく、自分の身近な「縦」「横」「斜め」の人たちの知恵を借り、「困難を分割」して考えれば必ず道は開ける。偉大な哲学者の教えは、健在だ。