問題点1.事前に融雪機の準備をしていなかった

24日は19時ごろからJR西日本の近畿エリアで21駅43カ所、うちJR京都線・琵琶湖線では京都、山科、向日町の3駅計21カ所でポイント不転換が発生。特にホームが多く、多数のポイントが設置されている京都駅では多数の障害が発生したという。

こうした事態を防ぐために、ポイントには雪や氷を溶かす融雪器が設置されている。都市部で用いられる融雪器は主に燃焼式と電気式があり、スイッチひとつで稼働する電気式に対して、燃焼式はそれぞれに灯油を給油し、着火する必要がある。JR西日本は北陸など豪雪地域では電気式を導入しているが、雪の頻度が少ない近畿圏では燃焼式が中心だ。ただこれは阪急電鉄や京阪電鉄など大手私鉄も同様である。

結論から言えばJR西日本は大雪の予測を見誤った。同社は融雪器を稼働する基準を「6時間に10センチの降雪が予想される場合」としていたが、予報では積雪は8センチと予想されていたため、JR京都線・琵琶湖線の融雪器に火を灯していなかったのである。

問題点2.運転再開に固執した不可解

これは契約する気象予報会社の気象情報に基づく判断だったというが、10年に一度といわれる大寒波が訪れる中、あまりに軽率だったと言わざるを得ない。融雪器を稼働していれば絶対にポイント不転換は発生しないというわけではないが、京都市内に乗り入れる阪急京都線、京阪線、近鉄京都線は前日23日夜から24日未明にかけて融雪器を稼働し、結果的に遅れが生じる場面もあったが問題なく運行を継続している。

18時ごろから急速に雪が強くなり、JR西日本としても運休を検討していた矢先だったというが、時すでに遅しである。とはいえ起こってしまったことは仕方ない。問題はその後の対応だ。

26日のJR西日本東京定例会見で長谷川一明社長は、本来は「1時間が経過して復旧できない場合は徒歩誘導を検討する社内基準がある」としながらも、「夜間、大雪の中で歩くのはリスクが大きいため、列車の運転再開を優先してしまった」と説明する。

しかし一方でポイントに挟まった雪はマイナス3度の気温で凍りついており、雪が降り続く中で復旧作業の着手が遅れ、氷はバーナーでも溶けない状態だった。これは作業に着手した当初から分かっていたはずで、なおさら復旧に固執したのは不可解だ。

作業の状況は逐一経営層に伝わっていたと説明するが、対策本部の判断を尊重するとして、対策本部長でもある長谷川社長から方針転換の指示がなされることもなかった。