あやしい儲け話にだまされる人が後を絶たないのはなぜか。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「何人もの営業マンに話を聞いてみましたが、彼らには共通する話術があるのです」という――。

「この商品に投資すれば、ほぼ儲かります」といったセールス文句に、「じゃあ、あなたが投資すれば?」とは思ってはいても、なかなか面と向かっては言えないもの。

でも、かつて血気盛んな若手ファイナンシャル・プランナー(FP)の頃、私は言ってみたことがあります。

そのときの、相手の反応は……。

そして、相手の反応から気づいた、セールス側の共通の思惑とは……。

未公開株の勧誘で営業マンが語った内容とは

今からもう10年以上前のことですが、当時は、「未公開株を買いませんか?」とのセールス電話がよくかかってきました。

ほとんどの人は「興味はありません」とスパッと電話を切るのでしょうが、ちょうどそのころ、自称新進気鋭のFPとして「リアルな投資ネタ」を欲していた私は、そんなセールスに対しても、電話を切らず、対応をしておりました。

窓から外を眺めながら通話する女性の後ろ姿
写真=iStock.com/Biserka Stojanovic
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そんな私に、業者が喜々として勧めてくる銘柄は、特許を持つ医療ベンチャーや最新技術を持ったIT企業など、どれもこれもきらびやかな企業ばかり。地味な製造業や小売業など、まずありませんでした。そして、それらの企業がいかに素晴らしいのか、そして将来有望であるかをまくし立ててくるのでした。

ただ、ハッキリと「必ず儲かる」や「絶対に損はしない」とは言いません。

しかし、いかにその企業が素晴らしいか、そして上場間近であるかを滔々とうとうと語るその言いっぷりからは、投資をすれば100%儲かるかのようなにおいを、これでもかと醸し出してくるのでした。

禁断の質問には、どう回答したか

もちろん、FPとして基本的な投資知識や、それなりの投資経験のあった私は、絶対に儲かる投資などないことは分かってはおりました。

なので、最初は「リアルなあやしい投資話ネタ」と割り切って聞いておりました。

しかし、自信満々に、さも「必ず儲かる」かのように話してくるセールスを何度も受けているうちに、FPとしてのプライドが刺激され、禁断の質問をしてしまったのでした。

それがタイトルにもある「じゃぁ、あなたが投資をすれば?」です。

実際には、そんなストレートな聞き方ではなく、「そんなに素晴らしい銘柄なら、あなたは買っているのですか?」と柔らかく聞いてみたのです。

気分を害して怒ってこないかな……とドキドキしながらの質問でしたが、返ってきたのは、「買えるのなら買いたいのですが、社内規定で買えないのです」といった、丁寧かつ、無難な回答でした。