ゴミ屋敷状態の家
時任さん姉妹が小学生の頃は、父親は店が休みの月曜日だけ、家に帰ってきていた。
家の中はゴミ屋敷状態。冷蔵庫はいつも賞味期限が切れた食品や腐った野菜、謎の瓶詰めやビニール袋などでパンパン。調味料を入れるポケットはベタベタになっていた。
父親はたまに帰って来ると、家の中が汚すぎることに文句を言った。
リビングにある大きなテーブルも、使いかけの調味料や汚れた食器などの物があふれ、表面はベタベタ。とてもそこで食事ができる状態ではなかった。
ただ、母親は突然片付けのスイッチが入ることがあった。そうなると、時任さんたちが何をしていようとお構いなしで、強制的に片付けさせようと声を荒げる。自分の物は無視して、「これ要らないの⁉」「これは⁉」と、娘たちの物をつついた。
母親が満足するまで付き合わないと夕飯も作ってもらえないばかりか、ここで機嫌を直すことができなければ、しばらく無視されることになる。体罰はなかったが、時任さん姉妹は、不機嫌や無視が続くのは避けたいため、必死で片付ける。
とはいえ、部屋がきれいにならなくても、ある程度で満足する母親。だからいつも家の中はきれいにならなかった。母親だけでなく、時任さん姉妹も物が捨てられないため、結局すぐに部屋が散らかる。必要な物が必要な時に見つからず、夏休み最終日はいつも、提出物が見つからず、泣きながら探し回った。
家の中は衛生的にも悪く、ゴキブリが繁殖。部屋のあちこちでゴキブリを見つけ、棚の中や食器の上など、至るところにフンが落ちていた。そのため時任家では、「食器は使う前に一度洗う」というルールができた。