都内に自由にスポーツできる公園はほとんどない

青木島遊園地は閉鎖というかたちになったが、近年、運動ができる公園・施設の“自由度”はどんどん失われている。先日、朝9時ごろに都内の某スタジアム下にあるランニングコースを仲間4人でゆっくり走っていたら、「他の方に迷惑になりますので集団走はお控えください」とスタッフから注意を受けた。イベント時には数万人が集まる場所だが、前後を見渡しても、他の利用者は数人しかいない。通行の邪魔をしないように配慮もしていたのに……ずいぶんと世知辛い世の中になったものだと感じた。

これは臆測だが、集団でのランニングにクレームをつけた人がいたのではないだろうか。そして、スタッフはガラガラの状況でも忠実にマニュアル通りの指示を出した。このような重箱の隅をつつくような言動が増え、自由にスポーツできる公共の場所はどんどん少なくなっている。さほど大きくない公園では多くの遊びが禁止されているからだ。

筆者はこうした公園事情を非常に危惧している。

墨田区の業平なりひら公園には王貞治の記念碑が立っている。「王貞治の野球はここから始まりました」などと書かれており、王さんが小学生時代に野球をしていたことで有名な公園だ。道を挟んだ隣には小学校があり、王少年は竹バットで3階建ての校舎を越えるデッカイ飛球を放ったという伝説もある。今だったら近隣住民からクレームがたくさんあったかもしれない(※なお現在の業平公園にはボール遊びエリアが設置されている)

サッカーボールを追いかけて遊ぶ子供たち
写真=iStock.com/Sushiman
※写真はイメージです

公園の利用価値を発信するWebサイト「公園のチカラLAB」は2018年に306カ所の人気公園を調査しところ、驚くべき事実が判明した。野球・サッカーができない公園は中京圏近郊(108カ所)で22%だったが、関⻄圏(93カ所)は62%、⾸都圏(105カ所)ではなんと100%に達していたのだ。同サイトでは、公園の禁⽌事項は近隣からのクレームによって⽣まれやすく、特に公園と住宅が隣接する都市部で起こっていると分析している。

なぜ、地方はプレー可能で都心ではNGなのか。都心の公園が狭く危険だから、というのは理解できるが、それだけではない。同サイトは次のような趣旨の解説をしている。

〈野球・サッカーの禁⽌が22%に留まった地⽅都市では、禁⽌であっても個別の公園毎に「ゲーム形式の野球・サッカーは禁止」「ボールを強く投げることは禁⽌」「キャッチボールは南北⽅向ですること、東⻄は禁⽌(またはその逆)」などの⼦どもの遊びに配慮した⾔葉になっています。このようなローカルルールは⾃治会と⾃治体が連名で掲げている場合が多く、コミュニティがちゃんと機能して、⼦どものことを考えている。一方、⾸都圏や関⻄圏では⾃治体のみの表記がほとんどで、公園周辺の住⺠から苦情があった場合でも相談できるコミュニティがないので、苦情対応のみに終始せざるを得ない状況が考察できる〉

いいコミュニティがあれば、画一的に「100%禁止」とはならないということではないだろうか。