確定拠出年金アナリストに

(この先どうしたものか……)と悩んでいたある時、前職で確定拠出年金の仕事をご一緒した方々から、「時間があるなら確定拠出年金の仕事をしませんか?」と立て続けに声をかけられました。

2001年にスタートした確定拠出年金制度は、順調に普及しているにもかかわらず、儲かるビジネスではなかったので、専門家になる人が少なかったのです。

声をかけられて、ふと思いました。たしかに、このジャンルで10年以上の現場経験がある人は、そうはいない。「私だからできること」がある世界だと気づかされたのです。

そもそも会社勤めから退いた私たち夫婦が立ち上げた会社のミッション(=やりたいこと)は、「サラリーマンがリタイアした後に本当の〈自由〉を得て幸せな生活を送れるよう支援すること」です。確定拠出年金の仕事は、まさしく一致します。「やりたいこと」「必要とされること」「できること」が三つ重なっているのです。

今では自分の肩書きも「確定拠出年金アナリスト」となり、iDeCoとして話題の個人型確定拠出年金をはじめ、関連する分野のセミナーや執筆をするようになりました。

必要とされ、できることは仕事になりますし、それが自分のやりたいことであれば楽しい。無理をせずともエネルギーが何倍にもなって出てくるので、結果よいアウトプットにつながり、ありがたいことに仕事も増えていくという好循環につながっています。

そして、食に関わることは「収入をいただく仕事」としてではなく、趣味として深めています。

安定収入をもちながら次へのアクションを

読者の皆さんが、「好き」に近いことを仕事にしたいのであれば、安定的な収入があるうちに、「どんなことが、どんな形で収入を得られるのか」などのリサーチを徹底的にしてください。それも、会社という居場所があるうちにです。収入のない状態になってから不採用と断られ続けると、私のように自分のすべてを否定されたような気持ちに陥るかもしれないからです。

大江英樹、大江加代『定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)
大江英樹、大江加代『定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)

最近は副業を認める会社も増えてきましたし、「プロボノ」といって自分のスキルを登録し、休日や夜の時間を使って地方企業やボランティア団体にノウハウを提供する仕組みなども整ってきています。現在の仕事に軸足を置きつつ外の世界で自分の能力を試すことが容易になりました。

本業があれば、想像と違っていたり合わなかったときのダメージも軽く、「少し角度を変えて関わる」といった方向転換も容易にできます。そうすることでチャンスを拡げ、「好き」を仕事にする確率も高まります。現役の間に次のステップへの準備をぜひ始めてみてください。

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