業務時間を「5時から22時の間」で自由に決められる

【有沢】カゴメでは、スーパーフレックス勤務制度とテレワーク勤務制度を活用することで、社員が働く場所と時間を柔軟に選択することができます。これは、コロナ禍前から導入していました。ただし、工場勤務の社員はこれらの制度を行使することができませんので、特別な休暇制度や一時金制度を設けて生産部門の方に報いるような制度を設けています。これは製造業の宿命であり、今後の課題です。

スーパーフレックス勤務制度は、2017年に時差勤務制度を導入した後、2019年よりコアタイムを廃止して本格導入しました。5時から22時の間で始業・終業時間を社員が自由に決めることが可能です。テレワーク勤務制度は、2018年に在宅勤務制度を導入した後、2019年より情報セキュリティポリシーの遵守を条件に自宅以外の場所でも業務遂行が可能になりました。

結果的に総労働時間も短縮された

【有沢】また社員はスケジューラーに業務の詳細な予定と時間を書き込むようになりました。

ちなみに、スケジューラーには仕事以外の予定も書き込むこともOKです。これは、空いた時間は自分のための時間であることを示すためです。もちろん、書きたくない人は書かなくても良いのです。ちなみにプライベートな予定を書いても構わないので、書き込まれたプライベートの予定をきっかけに社員同士のコミュニケーションも円滑になっています。

オフィスで働く若いビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

これらの制度も、導入前はさまざまな懸念事項が挙げられました。そのため社員に事前アンケートを取り、出勤しなければできない仕事を挙げてもらいましたが、ほとんどなかったため実行に踏み切りました。

コロナ禍となりさらに、やらなくても良い仕事がたくさんあることに気づきました。スーパーフレックスとテレワークを組み合わせることにより、働き方の柔軟性は極限で高まりました。制度導入の主目的ではありませんでしたが、結果的に、総労働時間も短縮されました。

管理職に興味のない人にもキャリアアップの機会を作る

【有沢】会社員の「キャリアアップ」には、これまで管理職になるという道しか用意されていませんでした。しかし、管理職に興味のない人はどうすれば良いのでしょうか。たとえばカゴメの場合は、研究職や、トマトを始めとした野菜の品種改良を行うブリーダーという職種がありますが、それらの職種に従事する人にはそもそもマネジメントに強い興味がない方もいます。

カゴメでは、スペシャリストもジェネラリストも対等な関係性で働ける制度として、専門職コースを作りました。