中古iPhoneを買いあさる外国人の目的
ですから日本のiPhoneシェアが1年後、大幅に下がるかどうかについては携帯各社の販売戦略も関係してくるわけです。ただこの問題、日本人にとって良い方に転んでいくかというとそうでもないかもしれません。
最近、秋葉原で外国人が中古のiPhoneを大量に購入しているという話があります。東南アジアやアフリカの国籍の方々が10個単位でiPhoneを買って自分の出身国の友人に国際郵便で郵送するのです。
話を聞いてみると、母国の中古iPhoneよりも日本のストリートで売られている中古iPhoneの方が郵送料を差し引いてもかなり安いのです。しかも日本人はカバーや保護ガラスを付けて使うので中古の状態もかなり良い。そしてその中でも人気なのが未開封の中古iPhoneです。
この動きは日本人にとっては痛手です。というのは7割のiPhoneユーザーの中にはかなりの比率で中古のiPhone愛好者が多いのです。先ほど申し上げたように中古の状態はかなりいい。SIMロックが解除されているかどうかなどの問題も中古販売店で丁寧に教えてくれる。電池が消耗していたら町の修理屋さんで比較的安価に電池も交換してもらえる。そのような中古がいいという消費者は結構な数いらっしゃるのです。
ところが世界的なiPhone価格の上昇でこの秋、中古のiPhoneが品薄になってしまい、結果的に中古のiPhone相場が大きく上がってしまいました。
「エコサイクル」が壊れて、さらなる値上げの恐れも…
これまでは比較的収入の多いユーザーが携帯電話会社を乗り換えることで新しいiPhoneをインセンティブ付きで安く購入し、それまで使っていたiPhoneは中古店に売却。それを中古でもいいというユーザーが購入しまた使うという国としてのエコサイクルが成り立っていました。しかし世界の中でもiPhoneが安いことがはっきりすると、外国人もそれに注目します。
しかもこの先、アフターコロナでいよいよインバウンドが戻ってきますから、日本のiPhoneはさらに人気になるでしょう。これは本国のアップルを動かす事態になるかもしれません。
要するに、グローバルな並行輸入が目に見える規模になってくると、それを本国は必ず抑えようとします。そのためには安すぎる国の商品を他国と同じ水準にします。つまり日本のiPhoneはいつまでも世界一安いかどうかはこの先はわからない。むしろ為替レート通りにすべきだという話になって、さらにiPhoneは1万円高くなるのかもしれない。
結局のところ経済というものは適正な水準と適正なシェアにいつかは落ち着くものです。ここで述べた日本のiPhoneが安い特殊要因というものがいつまでも続くわけではないかもしれない。結果としてそれほど遠くない将来、iPhoneの価格は15万円を超えて、日本のiPhoneシェアが40%台に下がる未来がくるかもしれない。だったら古い機種をお使いの方は「今のうちに新しいiPhoneに買い替えておいたほうがいいかもしれない」という話でした。