政子が頼朝の不貞に激怒した本当の理由

それにしても、政子はなぜそれほどの怒りを見せたのか。

自らの妊娠中に不倫をしていたということはあります。それより、亀の前が、頼朝の子(男子)を産むことを、政子は恐れていたからでしょう。

頼朝の後継者は「わが子」と政子は考えていたはず。もし、亀の前が男児を産んだら、ライバルが登場することになります。

そのような事態を避けるために、亀の前に打撃を与えて、追い落としておきたい。政子の心中には、そのような思いも芽生えていたように思うのです。怒りというよりも、恐怖が入り交じったものということができるでしょう。

裏を返せば、政子の立場もいまだ盤石ではなかったのです。

同時代に書かれた史料には、亀の前が頼朝の子を産んだという記述はありません。そうした意味で、政子のもくろみは見事、成功したといえるでしょう。

【関連記事】
「損をしてでも他人の足を引っ張りたい」日本人の"底意地の悪さ"が世界で突出している根本原因
「やはり天皇家と秋篠宮家ではまったく違う」眞子さまの駆け落ち婚に学習院OGが抱く違和感
一般人と僧侶の間で5万~10万円差…アンケートで判明「お布施」の妥当な金額
「川中島の戦いは武田信玄の勝利と解釈するべき」日本史の常識を覆す"合戦の勝敗"の見極め方
聖なる宗教界でイザコザ勃発…「上納金拒否・人事紛糾・怪しい不動産取引」対立・分裂の穏やかではない事情