政子が頼朝の不貞に激怒した本当の理由
それにしても、政子はなぜそれほどの怒りを見せたのか。
自らの妊娠中に不倫をしていたということはあります。それより、亀の前が、頼朝の子(男子)を産むことを、政子は恐れていたからでしょう。
頼朝の後継者は「わが子」と政子は考えていたはず。もし、亀の前が男児を産んだら、ライバルが登場することになります。
そのような事態を避けるために、亀の前に打撃を与えて、追い落としておきたい。政子の心中には、そのような思いも芽生えていたように思うのです。怒りというよりも、恐怖が入り交じったものということができるでしょう。
裏を返せば、政子の立場もいまだ盤石ではなかったのです。
同時代に書かれた史料には、亀の前が頼朝の子を産んだという記述はありません。そうした意味で、政子のもくろみは見事、成功したといえるでしょう。