お酒以外の「快楽物質」を見つける

⑤お酒以外に夢中になることを探す

お酒と同等、それ以上に楽しめることをみつける。これもまた、アルコール依存症を専門とする医師からよく言われることだ。

脳にとって、お酒は快楽物質。お酒は有害な物質をブロックする「脳の門番」血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)をもたやすく通過してしまう。つまり「脳はお酒を大歓迎している」というわけだ。しかし、脳の望むままお酒を飲んでいたら、いつまでたっても酒量は減らない。

そこで必要となるのが、お酒と同じくらい夢中になり、脳に快楽を与えてくれる代替だ。例えば筋トレやジョギングなどの運動、資格を取得するための勉強でもいい。私の場合、再び大学で学びはじめたことが、酒量を減らす良いきっかけになった。夕食後の勉強を習慣化したことで、自然と酒量が減ったのだ。

夜間に勉強しているラップトップのタッチパッドを使用して学生の女の子の手をクローズアップ
写真=iStock.com/Pheelings Media
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飲み日を限定すると、より味わって飲める

以上の5つは、思い立ったらすぐにできることばかり。かつては日本酒の4合瓶を軽く1日で空けていた私がこれらを実践し、酒量を大幅に減らせたのだから、誰にでもできると思う。

ちなみに私の場合、現在は週に2~3回を「飲む日」とし、家飲みと外飲みを健康的に楽しんでいる。酒量を減らしたことによって、逆流性食道炎もだいぶ改善し、少し高めだった中性脂肪の数値も標準値になった。睡眠の質、寝つきも良くなり、さらには体重が3キロ減った。体調はいたって万全だ。

何より変わったのは、お酒に対する意識。これまでは惰性で飲んでいた部分もあったが、飲む日の回数を限定したことで、お酒を飲む日が楽しみになり、これまで以上に味わって飲むようになった。

まずは自分で「これならできるかな?」と思えるハードルの低い目標を立て、それができたら、ほんの少しハードルを上げ、徐々に酒量を減らせばストレスもそうない。何となく惰性で飲むより、メリハリをつけて飲むほうが、今よりずっと飲む時間が充実する。

一生健康で、お酒を飲み続けるためにも、家飲み派の方はもちろん、外飲み派の方も飲み方を一考してみて欲しい。

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