前回、笠木恵司氏が挙げた8分野のうち、将来、経営幹部を目指すミドルマネジメント層に求められる力の一つが「組織&システムデザイン・マネジメント」である。

とりわけ現在はビジネスが複雑化、高度化する中で、所属する組織や立場の異なる人間でチームを編成し、成功に導いていくスキルの必要性が高まっている。その能力を身につけるために有効なのが、プロジェクトマネジメントに関する資格の取得だ。

現在、米国の非営利団体PMI(Project Management Institute)が認定しグローバル標準とされるPMP(Project Managem ent Professional)と、日本プロジェクトマネジメント協会のP2M試験がある。ITや建設、エンジニアリングをはじめ、多くの業界に取得者がいる。

日本IBMの鬼束孝則シニアプロジェクトマネージャー(41歳)は2005年にPMPを取得し、業務で活用するとともにキャリアの発展に活かしている。

「PMPを取得しようと考えた理由は2つあります。一つは、会社がPMP取得を奨励していること。もう一つは、担当していたプロジェクトで行き詰まったからです」(鬼束氏)

プロジェクトに参加している人間は考え方も目指す方向もまちまちで、必ずしも思った通りには動いてくれない。そのような状況では声の大きい人間の意見が通りがちになり、往々にしてプロジェクトは立ち往生してしまう。

ところがPMPが準拠しているプロジェクトマネジメントに関する知識体系である「PMBOK」(Project Management Body of Knowledge)にはどの時点で何をインプットし、アウトプットするべきかの標準が示されており、PMPを取得すればプロジェクトの各局面で何を意識し、どうするのが正しいかという判断を示すことができる。