そう、なるべくして彼はそうなったのです。景気がよかった時分でもたぶん、似たような状態になっていたでしょう。私は、彼が就活でたどってきた道のりを聞いてみました。概略は以下の通りです。

●まず、総合商社を4社受けた
●同時並行で、リクルートを受けた
●結果が芳しくなかったので、リクルートのグループ会社を受けた
●やはり結果が芳しくなかったので、都銀を3社、証券を2社ほど受けた

ここまでで全滅というのがひとつ目の問題。

ただ、彼は「たくさん落ちた」だけではなく、さらに3つほど、迷子になるような経路をたどっています。

彼の口からそのあたりを語ってもらいましょう。

「商社・人材系・都銀・証券と毛色の違う業界をいろいろ受けて、全てダメだった」
「いずれも、慶應大学の先輩がたくさん入っている企業を狙った」
「最初は、海老原さんの指導通り、“素のまま”の自分で面接に挑んだ。ただ、それで何社か撃沈するうちに、次第に“なりすまし”で合格する学生風の受け答えをした」

いろいろ受ける→「なりすまし」と「素」の両方試す→だけどダメ

そう、多かれ少なかれ、たいていの学生はこの道程をたどります。

そして、ダメダメ続きで打つ手がなくなり、就活迷子になっていくのです。