荒唐無稽な「陰謀論」を信じてしまう人が後を絶たない。東京大学非常勤講師の左巻健男さんは「自分だけが真実を知っていると思うことで、プライドが高まり高揚感を得られる。不安が強まる社会にあって、陰謀論が『癒し』になっているのではないか」という――。
※本稿は、左巻健男『陰謀論とニセ科学』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
陰謀論は「カルト宗教の洗脳」に酷似
映画監督の増山麗奈氏は、一時的にせよQアノンに感化されたことを反省しています。
以下は、ハーバー・ビジネス・オンラインの記事「アメリカ大統領選の『陰謀論』にハマってしまった私〜やらかした当事者が振り返る〜」からの引用です。
「よく考えれば『トランプは唯一無二の救世主』という主張は何の根拠もないことがわかるのだが、インターネットの動画を深夜1人で見ていて、周りのSNSに賛同者しかいなくなると、人は冷静さを失う」
「最初にショックを与えて外部と遮断させ、その恐怖から逃れたいという状況につけ込んで説得するというのは、カルト宗教組織やテロ組織でも用いられる洗脳の常套手段だ。
実は、深夜1人でネットサーフィンをしていた私は、こうした洗脳を受けているのと同じ状態になっていたのだと思う」
増山氏はこのように反省の弁を語ります。
日本の陰謀論者「Jアノン」中身は旧統一教会分派
わが国でもこの件で路上デモをしていた団体があります。アメリカのように悪魔崇拝や小児性愛といった主張は前面に出てこなくても、アメリカは闇の政府(ディープ・ステート)に牛耳られているというトランプ支援運動が日本でも起こり、たまに路上デモをしていました。
Qアノンの影響を受けた日本の陰謀論者「Jアノン」です。
その中心は、トランプの再選を予言していた幸福の科学、そして旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の分派である日本サンクチュアリ協会といった保守系宗教団体の信者たちです。
Jアノンの主張の特徴は、とくに闇の政府(ディープ・ステート)を中国共産党と結びつけるところです。