2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。国際部門の第2位は――。(初公開日:2022年3月10日)

真実が知られないようメディア統制を強化

ロシアのプーチン大統領が命じたウクライナ侵攻は、次第に無差別攻撃の様相を呈し、学校や病院、原発を攻撃するなど泥沼化してきた。

2022年3月5日、アエロフロート航空訓練施設を訪問し、ロシアの航空会社の乗務員らと会談するプーチン大統領(ロシア、モスクワ)
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2022年3月5日、アエロフロート航空訓練施設を訪問し、ロシアの航空会社の乗務員らと会談するプーチン大統領(ロシア、モスクワ)

残虐な戦争の実態はロシアでは報道されず、逆に愛国主義が高揚し、2月28日の世論調査では国民の68%が「特別軍事作戦」を支持。反対は22%だった。プーチン大統領の支持率も侵攻1週間で71%に上昇した。

政権側は反政府系メディアや外国報道機関の活動を統制するなど、戦争の真実が国民に知られないよう躍起になっている。

プーチン大統領の暴走を阻止できるのは、政権内部のクーデターと国内の反戦運動だが、政権の亀裂は現実的でない。国内の反戦世論が今後どう広がるかを探った。

学校では「これは平和維持活動」と教育

プーチン政権は前例のない報道管制に着手した。政権の支配下にある上下両院は3月4日、「ロシア軍に関する虚偽情報を広める行為」に最大15年の禁固刑を科す法案を可決。ロシアへの制裁を支持する行為にも最長3年の禁固刑を科すとしている。

政権は反政府系ラジオ局「モスクワのこだま」やテレビ局「ドーシチ」を閉鎖に追い込み、メディア各社の検閲を強化した。シンクタンクのサイトも更新されておらず、学者らにも反戦論調の禁止を命じている。西側主要メディアもモスクワでの報道活動を自粛した。

国営テレビはウクライナ政府の東部での「ジェノサイド」(大量殺戮)を非難するキャンペーンを延々と報道。2022年3月時点では、ロシア側が市民退避ルートの「人道回廊」を提案しても、ウクライナ側が拒否したと一方的に非難している。

ウクライナ侵攻を支持するシンボルとして、アルファベットの「Z」が社会に拡散している。

独立系メディア「メドゥーサ」によれば、ロシアの学校に、ウクライナ戦争に関するガイダンスが配布された。それによると、生徒が「これはウクライナとの戦争なのか」と質問した場合、「戦争ではなく、ロシア語圏の人々を弾圧する民族主義者を封じ込める特別な平和維持活動」と答えるよう指示されている。