電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOが、ツイッター社の買収を撤回した。3カ月前には440億ドル(約6兆円)という巨額で買収合意をしていたが、なぜ買収を見送ったのか。経営コンサルタントの竹内一正さんは「真意はまだわからないが、『あきらめた』と理解するのはまだ早い。次の展開があるはずだ」という――。
イーロン・マスクのTwitterアカウントと、イーロン・マスクの写真が、携帯電話の画面に表示されている
写真=AFP/時事通信フォト
イーロン・マスクのTwitterアカウントと、イーロン・マスクの写真が、携帯電話の画面に表示されている。ツイッターは2022年7月22日、期待はずれの決算を発表、イーロン・マスクの買収提案に関連する不確実性を含む「逆風」が原因だとしている。

フォロワー数8000万人という世界有数のツイ廃

イーロン・マスクは2009年からツイッターのユーザーであり、2022年4月時点でのフォロワー数は8000万人を超えていた。

その彼が、今年4月13日にツイッター社の全株を取得し非公開化を目指すと提案した。この動きに対しツイッター社は反発し、「ポイズンピル」で対抗しようと考えた。ポイズンピルとは、既存の株主にあらかじめ新株予約権を発行しておくことで買収を食い止める買収防衛策だ。

イーロンはツイッター社の取締役議長にこう伝えた。

「世界中に言論の自由を実現するプラットフォームになる可能性を信じ、ツイッターに投資した。言論の自由は民主主義が機能するための社会的必要事項だ。しかし、現在の形では、社会的要請に応えることも繁栄もできない。ツイッターには並外れた可能性がある。自分はそれを解き放つことができる」

4月25日に事態は急展開し、ツイッター社は態度を変えて約440億ドル(約6兆円)でのイーロン・マスクによる買収に合意した。

ところがイーロンはツイッター利用者に占める偽アカウントの割合を問題視し、5月13日に買収手続きを一時停止すると言い出した。そして、7月8日にツイッターの買収を撤回すると発表した。

この3カ月の騒ぎは一体何だったんだろうか。