「日本野球の大きな転換点になった」
4月10日、20歳のロッテ、佐々木朗希がオリックス戦で完全試合を達成した。しかもNPBタイ記録となる19奪三振、13連続奪三振という空前の大記録だ。このとき一部の野球指導者や研究者たちは「日本野球の大きな転換点になった」という感慨を漏らした。
佐々木朗希は2019年、岩手県立大船渡高校3年生の春に、高校日本代表候補による研修合宿の紅白戦で高校生最速の163km/hを記録。このニュースはNHKの全国放送でも流され一躍注目されることとなった。
佐々木朗希はこの夏の甲子園の「目玉」の一つとなった。選手権岩手大会、佐々木は、7月21日の4回戦で延長12回、194球を投げた。翌22日の準々決勝は2番手投手が投げて勝ったが、24日の準決勝では佐々木が先発し129球で完封した。
そして翌25日の決勝戦は大谷翔平などを輩出した私学の花巻東との対戦になったが、大船渡の國保陽平監督は佐々木の登板を回避、大船渡は2対12で花巻東に大敗し、1984年以来35年ぶりの夏の甲子園出場はならなかった。
「なぜ連投させないのか」という批判の声
國保監督は大会前、佐々木郎希の詳細なメディカルチェックを行った。佐々木を診たスポーツドクターによれば、佐々木は骨の成長を示す「骨端線」がまだ残っていて骨格が成長途上だった。この状態で過度の投球をすれば、骨が変形したり靱帯などの損傷に結び付きかねない。
ドクターは「すごい素材だけに慎重に育成すべき」というアドバイスをした。たまたま筆者はその現場に居合わせたが、診察室から出てきた佐々木は長身のわりにかなり華奢な印象を受けた。
他の専門家のアドバイスも受けて、國保監督は佐々木の起用には慎重になっていたのだ。決勝戦後、國保監督は「私が投げさせないと判断しました。痛みとかはないが、筋肉のはりがある。故障を防ぐためで、今朝の練習で佐々木に伝えました」とコメントした。
しかし「なぜ佐々木を投げさせなかった」という声が全国から起こった。とりわけ地元では監督の責任を問う声が噴出した。