今季のプロ野球で、審判に関するトラブルが相次いでいる。4月24日のオリックス-ロッテ戦では、ロッテ佐々木朗希選手に白井一行球審が厳しく注意をし、その態度には批判が集まった。アマチュア野球で年間200試合の審判を務める粟村哲志さんは「プロの審判が感情で判定することは絶対にない。怖い顔も激しい口調も、すべてマニュアルの一環だ」という――。
世間を騒がせた「球審詰め寄り事件」
開幕から2カ月が過ぎたプロ野球。交流戦も終了し、ペナントレースは中盤に差しかかってきた。
今シーズンの開幕序盤には、ひとつの大きな事件があった。4月24日のオリックス-ロッテ戦で、球審を務めていた白井一行審判員がロッテの佐々木朗希投手に「詰め寄って」注意をしようとした一件だ。注意をする必要があったかどうか、それがルールに則っているかという点もさることながら、白井球審の態度について大きな批判が集まった。
球審が投手に注意する出来事はこの騒動の1週間前にも起きている。4月16日のロッテ-日本ハム戦で、日本ハムの伊藤大海投手が球審のボール判定の直後に両膝から崩れ落ち、まるで土下座のようなポーズになってしまった場面があった。これに対して石山智也球審が注意をしたことが報じられ、ネットの反応は賛否両論あったものの、試合直後に伊藤投手が自身のツイッターに謝罪のコメントを投稿したこともあってか、大きな騒ぎにはならなかった。
騒動の余波と言うべきか、5月14日と15日のオリックス-ロッテ戦でロッテ井口監督とレアード選手がそれぞれ退場になるトラブルもあった。審判団はくしくも白井審判員が所属するクルーであり(NPBでは新型コロナ対策として2020年から年間を通じてメンバーを固定したクルー制度をとっている)、レアード選手については「審判への侮辱行為」により白井審判員が退場処分を下している。この件も、4月24日の騒動が尾を引いていると見る向きが多い。