日本国民100万人の個人情報を入手する「魔改造」案

そこで魔改造を提案します。

自分の個人情報を人工知能開発のためのビッグデータとして提供する国民を100万人規模で募ります。具体的には年間5万円の報酬で仮名データとしてのスマホや個人のパソコン、自家用車のドライブレコーダーなどすべての行動履歴が外部利用されることを許諾してくれる人を100万人、日本国が募集するのです。

今、企業が個人情報を収集する際に見返りに提供する対価はだいたい500円が相場です。アプリに新規に登録して個人情報を提供することで500ポイントもらえたり、ドリンクバー無料のクーポンがもらえたり、企業が個人情報提供のお礼に少しだけプレゼントをくれるわけです。

その100倍の対価を毎年もらえる代わりに、個人情報すべてを提供してほしいと国が募るというのが、魔改造のアイデアです。

集めるデータは多ければ多い方が良いのは事実だが…

私がもし毎日の行動情報をすべて見られるとしたら、確かに恥ずかしいのですが、それが仮名データになっていて誰か他人が見るのではなく人工知能のビッグブラザーが見て分析するだけだと言われれば、論理的には不都合が起きないように思います。

警察や公安や税務署が覗き見しないと約束してくれるかどうかだけが一番気になるところですので、そこは守ってほしいと思います。

鈴木貴博『日本経済 復活の書』(PHPビジネス新書)
鈴木貴博『日本経済 復活の書』(PHPビジネス新書)

この条件を満たしてくれるのだったら、「個人データを人工知能に提供してもいいよ」という人は、100万人の募集枠が埋まるくらいは応募してくるのではないでしょうか。

分析する側から見ればビッグデータは多いほうがいいのですが、別に全数必要なわけではありません。日本国民の約1%のサンプルに相当するビッグデータが、年齢、地域、職業、年収レベルなどほぼまんべんなく日本全体のサンプルになるような形で提供されれば、日本の人工知能開発には十分なビッグデータ利用環境になるはずです。

こうして人は見ない。人工知能だけが見ることができる。分析結果を人工知能は差別には使わないと約束する。このルールなら日本の人工知能の育児環境は世界的な競争力を保てるでしょう。

あなたによく似た行動をする別の人がデータを提供したことで、あなたのところにもぴったりの広告が頻繁に届くようになると思います。それは科学の進化として許容すべき未来だと私は思います。

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