なぜ日本育ちの人工知能は頭が悪くなってしまうのか
さて、日本経済を発展させるためにどこかから性能がいい人工知能を手に入れる必要があるとしましょう。
GAFAMの育てた人工知能はちょっと危険かもしれません。冒頭の事例のような問題が複数発生している以上、私たちアジア人から見れば偏見を持った人工知能が納品される危険性を感じるのです。
一方で日本企業が開発した人工知能はどうかというと、育てる際に使えたデータ量の少なさ、はっきり言えばスモールデータで育った頭の悪さが不安材料です。
現時点で一番性能が良さそうなのは中国政府が開発した人工知能でしょう。
なにしろ人工知能を育てるにあたって中国の国民が持つスマホのGPSデータや監視カメラデータまで、国内のありとあらゆるビッグデータを使えるという、人工知能を育てるには最適な育児環境が揃っています。しかし、これだと中国にデータが渡る不安が残ります。
プライバシー意識の高さが自分の首を絞めている
このように考えると、結局のところ人工知能開発とは性能と安全保障の二つの課題を抱えた問題であり、解決策として国産の人工知能の性能をどう上げるのかを考えなければならないようです。
言い換えれば、日本の人工知能の育児環境を変えていく必要があるのです。
日本では携帯電話会社がスマホの個人GPSデータを広告に活用しようとしたり、JRがICカード乗車券の利用データを商用利用しようとすると、世論の反対が起きます。
自動運転の人工知能を開発するには実験車両を大量に走らせる必要があるのですが、日本よりもアメリカのテキサス州のほうが圧倒的に良い走行実験を重ねることができます。
中国やアメリカのように頭の良い人工知能を育てるのに向いた環境を用意しなければ、2040年の日本は外国製の人工知能だらけの未来になる危険性があります。とはいえ、それは個人情報を危険にさらすことと表裏の問題になります。