化石ビジネスこそ多くの人権侵害や環境破壊をまき散らしている
疑問5:パネルは国産でも、セルは全部輸入だろ! セルを作っているウイグルの人権問題はどうするんだ!
太陽光パネルを構成する「セル」のほとんどは海外、特に中国からの輸入であり、その多くは人権問題が取りざたされるウイグル自治区で生産されているのは事実です。筆者は人権問題の専門家ではありませんが、現地の人たちの人権が侵害されている懸念には心が痛みます。国際的な圧力によって解決されていくことを切に希望します。
一方で、世界には、リアルで深刻な人権侵害・環境破壊がたくさんあります。私が何気なく生活する中でも、様々な食べ物や生活用品、そしてエネルギーを通して、否応なく世界とつながっており、悪気はなくても見ず知らずの人たちの人権を侵害し、環境を破壊し、ひどく苦しめている可能性は十分にある、いや、間違いなく苦しめています。ついつい食べたくなるアボカド・ハンバーガー(注2)とか、本当に良くないなと自戒します。
注2:「アボカドブームの“不都合な真実” 環境問題や誘拐事件まで?」
「畜産と環境問題」
一方で、こうした「太陽光は人権侵害」「ジェノサイドを加速する」という言説をやたら一生懸命に吹聴する論客は、他にどのような人権問題に関心があり、解決に取り組まれてきたのでしょうか? まさか、太陽光を論じる「トキダケ人権論者」なはずはないでしょう。人権活動家としての実績を、ぜひ伺いたいものです。これほど一生懸命に化石ビジネスを擁護して回る熱意の源泉、その活動を支える資金源とスポンサーも含めて。
太陽光は決して完璧ではなく、改善していくべき点があります。しかし化石ビジネスこそ、太陽光とは比較にならないほど多くの人権侵害・環境破壊を今リアルにまき散らしています。それがなぜか許容されているのは、昔から害悪をまき散らし続けているから、みんなが当たり前だと思って諦めてしまっているだけです。
「地球温暖化ウソ論」もそうですが、「小さなアラをほじくり出して繰り返し叩く」姿勢は、社会の今ある大きな問題を解決することにつながりません。かつては、こうした頑なな姿勢が大気や水質汚染などの悲劇的な公害問題の解決を遅らせ、たくさんの立場の弱い人を苦しめることになりました。新しい解決策をことごとく踏みにじるヘイトの嵐は、既得権者にとって最高の守護神なのです。
太陽光については、他にも「パネルの廃棄が~」などと騒ぐ人がいますが、パネルの再利用やリサイクルへの取り組みも始まっています(注3)。元々「スジが良い技術」なのですから、残る課題は順次みんなで改善していけばよいのです。
注3:「太陽光発電業界 太陽光発電設備の廃棄に関する情報」
「使用済み太陽光パネルを再資源化 環境省、義務付け検討」
人権問題に真面目に取り組んでいる人ほど、脱炭素の潮流に正面から取り組むべきです。SDGsやESG投資といった世界のファイナンスの潮流は、人と地球に悪いことにどんどん罰金を科し、投資を引き揚げてしまうことで、経済的に成り立たないよう干上がらせることが目的なんですからね。