なぜ非科学的なオカルトを扱うのか

月刊『ムー』はとかく「オカルト雑誌」と紹介されることが多い。世間的にも、「オカルト雑誌」という認識があることは事実だ。何しろ類誌がない。日本では唯一無二の雑誌であるがゆえ、「オカルト雑誌」という響きは、かなりのインパクトがある。

確かに『ムー』はオカルトを扱う。オカルトとは本来、「隠されたもの」という意味である。秘教という意味でのエソテリズムや神秘主義に近い。狭義では魔術を指す。さまざまな儀式を通して、見えない存在、例えば神々や天使、悪魔、そして精霊を召喚して、超自然的な現象を引き起こす。魔術というとトリックを使った手品のイメージがあるので、研究家によっては、あえて魔法という言葉を使う場合が多い。

召喚する相手が人間の霊ならば、これは心霊現象である。死んだ人の霊、すなわち亡霊を呼びだしてコンタクトすることを交霊会と呼ぶ。出現した霊はエクトプラズムによって物体を動かしたり、見えない力を使って瞬間移動や物質化現象を引き起こすこともある。物理現象をともなう霊は、しばしば騒がしい霊という意味でポルターガイストと称されることもある。

生きた人間の霊は生霊であり、肉体から離れれば、幽体離脱だ。霊体と幽体の違いについては議論があるので、最近では体外離脱という言葉が使われることが多い。死に直面すると、霊は肉体を離れる。暗いトンネルを通って、まぶしい世界に出ると、そこには三途の川がある。対岸は美しいお花畑で、しばしばすでに亡くなった親戚がいて、こっちに来るなといわれ、気がつくとベッドの上で蘇生したという話はよくある。いわゆる臨死体験である。

生き返ればいいが、そのまま彼岸へ至れば、行きつく先は死後の世界である。宗教によっては天国や地獄があり、神の審判を受けるとも。人は死んだ後、神様や仏様になると説く宗教もある一方で、輪廻りんね転生して、再び人間として生まれ変わるとも。ときどき前世を覚えている人間もいる。

霊体は時空を超えて、過去や未来に行くことも可能だ。体外離脱で見た未来を語れば、それは未来予知である。体外離脱をしなくても、未来を見る人間は予知能力者であり、肉眼で見えないものを見れば、透視能力者だ。人が考えていることがわかれば、テレパシー能力者である。こうした五感以外の感覚器官で情報を得ることを超感覚的知覚ESPと呼ぶ。いわゆる超能力である。やや古いいい方でいえば、第六感や千里眼である。

超能力は、だれもがもっている潜在能力であり、開発することができる。専門のESPカードもある。透視の訓練ならトランプでもいい。トランプの起源はタロットにあるともいい、占いにも使う。占いは統計学だともいわれるが、本人の能力も不可欠だ。易占や四柱推命術、占星術なども、みなオカルトである。

宗教学、民俗学においては不可欠な要素

オカルトというと、あまりいいイメージがないため、今では「スピリチュアル」という言葉が使われる。少しおしゃれな響きがあるからだろうが、少し前は「心霊」と翻訳されていた言葉である。

超能力には、もう一分野あり、こちらは念力(サイコキネシス)だ。思念の力で物体を動かし、また発火させることもある。スプーン曲げや念写、テレポーテーションなども含まれる。超能力を扱う学問は超心理学と呼ばれる。

ごく大まかにいえば、以上がオカルトである。教義では魔術を意味するオカルトであるが、実際は、こうした心霊や超能力を含めて語られることが多い。オカルトは非科学的であるとして、学問の場では、しばしば排除される傾向があるが、宗教学や民俗学においては、重要な研究対象である。神話を語るうえで、オカルトは不可欠な要素なのである。

巨大ピラミッドは誰が作ったのか

古代において、神々の存在はリアルである。古代人は神々や精霊が実在すると信じていた。オカルトの世界観で儀式を行い、聖なる神殿を建設した。エジプトの大ピラミッドなど、まさに、その典型だ。

古代エジプトのピラミッド建設
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果たして、どうやって巨石遺構を作ることができたのか。時代的に場違いな工芸品「オーパーツ」の存在を考えるとき、失われた高度な建造技術は超古代文明に遡るとも。今から1万2000年前、大西洋に沈んだアトランティス大陸や太平洋上にあったとされるムー大陸には、全世界の文明の元になった超古代文明が栄えていたという。

古代文明のルーツに関しては、異星人の関与があったのではないかという説もある。神話における神々の正体はエイリアンだったのではないかというのだ。原始的な状態にあった人類の祖先に遺伝子操作を行ってホモ・サピエンスを作りだしたとか、そもそも異星人が祖先なのではないかという説もある。

人類発祥に深く関わっているからこそ、異星人は今も地球を訪れて、地球人を監視している。

彼らが搭乗しているのがUFOだ。UFOに乗っている異星人とテレパシーで交流しているという人もいる。通称、コンタクティだ。彼らによれば、もっとも進化した異星人は肉体をもっていないとか。地球人も、やがて霊的進化を遂げるときがやってくる。

実は、太古の昔から、こうした事実を知っている人たちがいる。彼らは秘密結社を組織し、やがて全人類を支配しようとしている。フリーメーソンやイルミナティ、最近ではディープ・ステイトだ。メンバーの中には人間に成りすましている悪い異星人がいる。爬虫はちゅう類型人類レプティリアンだ。