超常現象や怪奇現象などを扱う雑誌・月刊『ムー』。UFOから魔法まで、古今東西のあやしい話題の深掘りを続けているのは、なぜなのか。30年以上、『ムー』の編集を続けている三上丈晴編集長は「およそ学校では教えることのない世界を扱うのが『ムー』なのである」という――。(第1回)

※本稿は、三上丈晴『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス)の一部を再編集したものです。

三上丈晴編集長
写真提供=学研プラス

ムーはあくまでもノンフィクションミステリーである

雑誌には、それぞれモットーがある。どんなテーマを扱う雑誌なのか。基本方針は何なのか。それを端的に示す文言が必ずある。

『ムー』の場合、表紙に書いてある「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン」。これがマガジン・アイデンティティである。

注目してほしいのは「スーパーミステリー」という言葉である。ただの「ミステリー」ではない。一般的にミステリーというと、推理小説を意味することが多い。

あえて強調するために「ミステリ」と表記している雑誌もある。

もちろん『ムー』は小説雑誌ではない。ミステリーはミステリーでも、フィクションではなく、あくまでもノンフィクションである。

しかも、摩訶まか不思議な現象や事象、思想などを扱うノンフィクションミステリー。そこをあえて強調するために「スーパーミステリー」という言葉を使った。当時、中高生を読者対象としていたので、なじみやすい「スーパー」という表現になったのである。

ただし、小説ではないものの、推理の部分はある。何しろ、世界の謎と不思議に挑戦するのだ。挑戦して何をするのか。いうまでもなく「解明」するのだ。完全解明できるかは別にして、謎解きをする。謎解きにあたっては、いろいろな仮説を立てて、大胆に推理する。ここが『ムー』の醍醐味だいごみである。ウリといってもいいだろう。

何しろ対象とするのは現代科学では解明できない超常現象や怪奇現象、心霊、超能力、魔術といったノンフィクションミステリーである。謎を解明するにあたっては、まずは何がミステリーなのかをきちんと提示しておかなければならない。