50代教員は「荒れた時代」を覚えている

【TNT】ただし、先生、地域の方々の中には、校則をなくしてしまったときに校内暴力などが盛んだった、「あの頃(1980年代)」みたいな荒れが発生し、それが発生したときに、立て直す際のコストを考えている人もいます。

以下は私の経験則も入っていますので参考程度にお聞きください。昔の「荒れた状況」は、例えば「同じリーゼント」など「目に見えるもの」だったので、その条項を取り締まれば、外見的にまず抑えられて、一定程度取り締まることができました。今は、「荒れ」って姿に出てこない部分が大きいと思います。このように時代の遷移を考えると、校則をなくしたせいで、外見を伴って荒れるということはないと思います。

2021年現在、50代の教員はあの「荒れた時代」を覚えている。そのときとは、毎朝校門の前で状況の観察と身だしなみの指導、場合によっては朝から怒鳴り合いになり、保護者も学校に来て収集がつかなくなるなどのときです。

この理論で考えると、「生徒の荒れ」は地域などの指摘によって最終的に学校が負担しなければならず、校則があることによってこのクレームなどが低減していると考えると、「校則がある方がコストがかからない」となるのだと思います。

でもこの理屈は今の時代も通用するのでしょうか。

【長野】現代の長野県でも荒れている学校は確かにあります。校則がないから生徒指導も大変じゃないのではないか、というとそういうわけではないと思うのです。

スマホの使用禁止に「なんで?」

先のスマホの話でいうと、「登校後、下校まで校内でのスマホは使用禁止」なのです。でも、生徒に「なんで?」と聞かれると明確な返答はできませんでした。急に親に連絡を取らなければならないことなど、いろんな場面が想定されるはずなのに。でも少し調べてみると、携帯がかつて高校生に普及し始めたときに、授業中に遊んでいる例が確認され、その防止としてつくられた校則をずっとやってきた。我々は考えもせず、スマホの使用を見つけるたびに、指導している部分もあったと思います。

【内田】なるほど……一筋縄でいかないのは、教師の生徒指導に向かう価値観の違いや、ある意味で地域の要望、そして生徒の思いの多様化もあるのでしょうね。貴重なお話をありがとうございます。

最後に制服の話だけみなさまにお伺いしたいです。ジェンダーレス化が進んでいて、現在校則改正の話題となるとまず上がってくると思います。いかが運用されているのか、また、いかがお考えでしょうか。