※本稿は、河﨑仁志、斉藤ひでみ、内田良『校則改革』(東洋館出版社)の一部を再編集したものです。
【高校教諭覆面座談会】
SKR 20代、関西地方。教員4年目。生徒会担当などを経験。
長野 30代、長野県。教員歴8年。教務係→生徒会担当
TNT 40代、岐阜県。生徒会担当歴が長い。Twitterで、学校の在り方について積極的に発信している。
司会 内田良・教育社会学者
校則改革で教員の負担は減るか
【内田】これはあくまで働き方改革を考えたときの校則改革における副次的な産物ですが、校則を厳しくしないことで、身だしなみの指導をする機会そのものがなくなっていくのではないかと思うのです。
「ルールをなくしたら指導することが増える」のか、「ルールをなくしたら指導することが減る」のか、いかがお考えでしょうか。
【長野】校則がほとんどない学校でも、生徒指導は当然あります。ほとんどないとはいえ、例えばいじめの問題やその少ない校則に違反している生徒には指導せざるを得ません。とはいえ、その指導の中で、「この校則はおかしいのではないか」と考えていくきっかけにもなっていて、教員の先導で変わっていく例もあります。私が勤務する学校では、教員主導で、「校内でスマホ使用禁止」という校則がなくなりました。
【内田】私は「教員の働き方」も考えてきています。校則の見直しで、先生の負担がめちゃくちゃかかるようなら、本末転倒だと思っています。「先生の負荷を減らす」ということを校則改革では常に並行して考えたいところです。
校則があることで精神的にしんどい教師も
【SKR】校則があることによって、私は精神的にしんどいです。自分は「悪くない」と思っているのに、校則があるから注意しないといけないこと。また、担任していると自由にいろいろ活動させてあげたくて、クラスをよりよい環境にするところにエネルギーを割きたいのに、頭髪指導や「ネイル取ってこい」とかに労力を割かないといけないのがしんどいです。